夏は代謝が落ちるので要注意【特集】夏は妊活の敵?!

内臓が冷えがちな夏は代謝アップが大切です

夏は代謝が上がると思われがちですが、実は逆。特に内臓が冷えてしまうので注意が必要です。
ハシイ産婦人科の斎藤仁美先生になぜ夏に代謝が落ちるのか、対策として何をすればいいか、伺いました。

ハシイ産婦人科 医師斎藤 仁美 先生
東大阪医療センターで産婦人科診療に従事する傍ら、大阪大学で融合医学研究(主に漢方医学)にも携わる。年齢や環境の変化などから現れる心身の変調に対する診療にも積極的に取り組んでいる。

夏は自発的な熱産生が減るだから代謝が下がりやすい

人間は一定の体温を保つために、エネルギーを燃やして熱をつくっています。これが代謝です。代謝が活発であれば、細胞が正常に機能して健康でいられます。冬は寒さに対抗して体が熱を生み出すので、代謝は上がりやすいです。反対に夏は外気温が高いので、自分で熱を産生する必要がなくなり、基礎代謝も下がります。特に女性は筋肉量が少なく、水分量が多いため、冷えやすいのです。冷え性の人は熱を生み出しにくいため、代謝は落ち、血流も悪くなります。
子宮や卵巣は小さな臓器にもかかわらず、血流が比較的多く微量なホルモン変化にとても敏感な臓器です。冷えによって代謝が悪くなり、血流が少しでも不足すると妊娠しにくくなる可能性があります。代謝悪化による血流不足は命にかかわるほどではなくても「次世代を残す」という作業にはとても大きな影響があるのです。

適度な運動としっかり入浴で温活

夏の生活スタイルは、妊活の大敵である“冷え”を増長する原因です。冷房の効いた部屋に長時間いたり、冷たい麺類や飲み物などを中心とした食生活が重なることで、内臓が冷え切ってしまいます。夏野菜も汗をかいた後の水分・ミネラル補給としてはいいのですが、食べすぎると体を冷やします。
よく「暑がりだから冷えをあまり感じない」と言いつつ、「お風呂に30分以上気持ちよく浸かれる」という人がいますが、そういう人こそ、実は冷え性の可能性が高いです。表面は暑くても、内臓は冷えているケースが多いのでぜひ夏こそ「温活」を意識して過ごしてほしいです。
おすすめは朝、温かいスープや生姜湯を飲むこと。体の内側からポカポカ温まります。冷たい飲み物やカフェインが含まれるコーヒーは控えめにしたいところです
朝ご飯もしっかり食べてほしいです。できれば、ご飯とたんぱく質のセットで。たんぱく質は消化・吸収する際に熱が生み出され、長時間体温を維持することができます。糖質や炭水化物だけだと、一過性に体温は上がりますが、すぐに下がります。また、ご飯はパンより消化に時間がかかる分、血糖値の乱高下を防ぎます。
さらに温活として夕方の散歩、入浴は毎日ぬるま湯に浸かってゆったりする、この2つもおすすめ。どちらもじわっと汗をかくことができ、深部の温度を上げてくれます。ちなみに私は夕方、洗濯ものを取り込む際、15分ほどベランダにたたずみ、じんわり汗をかいて代謝アップをはかっています。
適度な運動も大切です。といっても激しい運動をする必要はまったくありません。家の中で積極的に動いてみるだけでいいんです。家事の合間にかかとを上げ下げししたり、つま先立ちなどで第二の心臓と呼ばれるふくらはぎの筋肉を動かすだけで十分。あとはヨガみたいに深い呼吸を意識するなど、無理なく日常に取り入れられることから始めてみてください。
東洋医学では、春の過ごし方が夏の体調を決め、夏の過ごし方が秋の体調を決める、というふうに一つ前の季節の過ごし方が大切だといわれています。春に体を整えれば夏の不調予防につながります。常に次の季節を意識して体調を整えることが妊活にも良い影響を与えてくれることも覚えていてください。

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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