【Q&A】PCOS、1個移植?2個移植?~村田先生【医師監修】

さくらさん (37歳)

移植1回目・2回目にそれぞれ4ABを移植しましたが、陰性。
移植3回目で3ABを2個移植して陽性(移植9日目でHCG129.5)なるも、胎嚢確認できず、化学流産
凍結胚も無くなり、転居に伴い、新しい病院で採卵を行って10個確保しました。

次周期に移植周期に入るのですが、3つ質問があります。
①2個移植にするべきでしょうか。
②2個移植するなら、組み合わせは4AA×2が良いでしょうか。それとも、二人目も希望するので4AAとグレードの低い物が良いでしょうか。
③内膜が厚くなりにくい&移植周期になるとE2が上がりにくい傾向があります。何かサプリや対策はありますか?

スクラッチ、シート法は過去に実施済みで、今の病院ではやられてないそうです。
どうぞ宜しくお願い致します。

ARTクリニックみらいの村田先生にお話を伺いました。

ARTクリニックみらい 院長 村田泰隆 先生
1994年 名古屋大学医学部卒業後、安城更生病院にて産婦人科全般に従事。1998年 名古屋大学付属病院にて、周産期・不妊症を専門に診療および研究。2003年 名古屋大学医学部大学院卒業後、IVF大阪クリニック・なんばクリニックにて4年にわたり体外受精年間1500周期以上の臨床経験を積む。2007年 竹内病院トヨタ不妊センター長、2010年 エンジェルベルクリニック不妊センター長を経て、2016年 ARTクリニックみらい開院。7年間で約5,500例を妊娠出産に導く。個々の背景や将来の家族計画に合わせた治療を信条としている。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

化学流産も含め、過去3回の胚移植で結果が得られず、つらい思いをされたことと思います。背景にPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)がありますが、形態の良いものも含めて10個の胚盤胞を得られたことは、今後を前向きに考える上で非常に心強い材料です。

 

①次の周期は1個移植が良いか、2個移植が良いか?

37歳という年齢や、過去の移植歴(陰性・化学流産)を踏まえると、2個移植は妊娠率の向上という点で十分選択肢となります。一方で、双胎妊娠には一定のリスクがあるため、慎重な判断が必要です。一方、今回は新しい施設での初めての採卵・移植となります。より多くの胚盤胞が獲得でき、胚移植の方法も異なっている可能性があるため、1個移植の選択肢も含めて、担当医とじっくり相談されることをおすすめします。②2個移植を行う場合、胚の組み合わせは?妊娠率を高めつつ多胎妊娠のリスクを下げ、第2子の希望をつなぐためには、最良胚とグレードの低い胚、の組み合わせから始めるのがよいかと思います。

③内膜が厚くなりにくく、E2が上がりにくい件への対策は?

PCOSの方では、卵胞発育に時間がかかり、排卵誘発剤(アロマターゼ阻害剤)を使用した場合、E2値が低くなる傾向があります。移植周期が排卵周期か、ホルモン補充周期かによっても対策は異なりますが、一般的な対策としては以下が挙げられます。

●E2対策…排卵周期(AI周期)ではGn製剤の併用、ホルモン補充周期ではエストロゲン製剤の増量、など
●血流改善…L-アルギニン、ビタミンD/Eのサプリメント、
冷え対策、適度な運動、睡眠の質改善など
●子宮内環境見直し…子宮鏡、慢性子宮内膜炎、子宮内フローラ検査など
●自費診療オプション…G-CSF子宮内注入、PRP療法、PFC-FD療法など

スクラッチ・シート法の再検討について

子宮内膜に機械的刺激を加えることで着床促進因子の発現が高まる可能性があり、先進医療にも認定されています。実施可能な施設での施術も視野に入れて検討ください。

さいごに:
PCOS背景がありながら良好な胚盤胞を複数確保できていること、化学流産とはいえ一度着床反応が得られていること、は、今後の治療において大きな希望となります。焦らず、ご自身の気持ちやライフプランを大切にしながら、主治医とともに最適な選択肢を見つけてください。応援しています。

 

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