【Q&A】3回流産、着床前診断受けるべき?~小山 伸夫先生

小山 伸夫先生に教えていただきました。

小山 伸夫 先生(ART女性クリニック 院長)

熊本大学大学院医学研究科卒。熊本大学産婦人科、兵庫医科大学産婦人科外来医長を経て、慈恵病院産婦人科部長。2005年、熊本で初となる不妊専門クリニック「ART女性クリニック」を開院。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

しぃさん (38歳)

バイアスピリンを内服し、4回目の移植を行いましたが、稽留流産となりました。
あと2回保険での移植に進むか、それとも着床前診断など検討した方がよいのでしょうか。

今後、採卵も必要となります。現在貧血の治療を行い、Hb7.7まで上昇していますが、採卵は正常値に戻って採卵を行うべきか、年齢を考えるとすぐに採卵に進むべきか、悩んでいます。
ネットで「貧血は卵の質を悪くする」とあったので心配です。

今までどのような不育症の検査を受けられたかは、資料からわかりませんが、資料に掲載されていない項目として

○ 夫婦の染色体検査(Gバンド)
○ 子宮卵管造影検査
○ ループスアンチコアグラント
○ 抗カルジオリピンβ2GPI
○ 抗カルジオリピン抗体IgG,IgMプロテインC活性
○ プロラクチン
○ TSH,T4

などの検査をした方がいいと思います。
特に、子宮形態異常による不育症でないかを調べるためにHSGは重要です。また、均衡型相互転座などによる不育症もありますので、夫婦の染色体検査もぜひ受けてください。

38歳の高年齢と3回流産を繰り返しているので、理想的には、経済的に問題なければ、PGTがいいと思います。PGTの前に夫婦の染色体検査をして、均衡型相互転座等の異常がないかを調べて、異常があればPGT-SR、異常がなければPGT-Aになります。PGTで診断した正二倍体胚を移植して、アスピリンとヘパリンの治療も併用することになります。

経済的にPGTができないのであれば、抗リン脂質抗体症候群があり、前回アスピリンで効果がなかったので、次の胚移植後にアスピリンとヘパリンの併用療法を行うのがよいと思います。
卵子の老化を抑制する抗酸化酵素が働くためには鉄が必要ですが、貧血があると貯蔵鉄が不足し、その結果卵子が老化するという報告があるようです。しかし、臨床上軽度の貧血は問題ないと思います。もう少し貧血を改善されてから採卵にすすめばいいと思います。

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