▶︎初期胚か胚盤胞か
タイムラプスを使った体外受精をしています。1回目初期胚good着床せず、2回目胚盤胞3BC着床せず、次回3回目初期胚good(3日目9細胞)移植予定です。もし今回ダメだった場合、初期胚の段階で分割状態が良好だとしても凍結せず、胚盤胞まで培養してもらったほうがいいのではないかと悩んでいます。採卵した卵子が1個も胚盤胞にならない可能性があっても、初期胚での移植チャレンジは何度まで考えてもいいのでしょうか。

小田原 靖 先生
東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987 年、オーストラリア・ロイヤルウイメンズホスピタルに留学し、チーム医療などを学ぶ。東京慈恵会医科大学産婦人科助手、スズキ病院科長を経て、1996 年恵比寿に開院。
この方の場合、初期胚と胚盤胞、次回はどちらを移植をしたほうがいいのでしょうか
小田原先生●まいこさんのAMHの値は0・36ng/mlとのこと。年齢からみたら卵巣機能がかなり低下している状態だといえます。通常だと10個くらい卵子が採れるのですが、このくらいの値の方だと多く採れても5個程度。だいたい2、3個くらいというのが現実だと思います。
1回目の採卵で正常受精したのは3個で初期胚1個、胚盤胞1個、2回目の採卵で正常受精したのは1個だけで初期胚1個を凍結したそうですね。このように採れる卵子が少ないなか、胚盤胞まで培養するか、初期胚で移植するか正直、悩むところだと思います。
やはり胚盤胞移植のほうが妊娠しやすいのでは?
小田原先生●患者さんの年齢によってはそうとは言い切れません。
受精卵は3日目まで培養して、さらにそれを2日培養すると胚盤胞になります。3日目には6~8細胞期、そこから2日培養する段階で受精卵の細胞は急激に増えて100近くに。
成長していくのはいいことですが、細胞が分裂する時には多くの酸素が必要になり、受精卵は酸化ストレスにさらされることになります。本来だったら特に問題はないのですが、35歳を過ぎて年齢が高くなってくると、そのストレスに弱くなってしまうのですね。
ですから、条件によっては体外培養して胚盤胞にもっていくことがベストとは言い切れない部分があります。
小田原先生だったら、次の移植はどちらを選択しますか。
小田原先生●当院だったら、採卵数が1、2個であれば初期胚で、4、5個であれば胚盤胞、もしくは1、2個は初期胚で残りは胚盤胞で、と両方のパターンも試してみるかもしれません。
必ずしも胚盤胞で移植しなければダメというわけではない。培養しても胚盤胞までいかない方が、初期胚を移植して妊娠されたというケースもたくさんあります。
いずれにしても卵子の数はなるべく多く確保したいので、次回採卵されるなら排卵刺激法を見直す。また、少しでも卵子の数を増やすためにDHEAなどのサプリメントを使ってみる。さらに、受精卵への酸化ストレスを抑えるために抗酸化作用のあるビタミン剤や漢方薬、サプリメントなどを治療と併行して使っていくのもおすすめです。