▶残り3回の保険適用内で妊娠するには
2人目の妊活を始めて約3 年。タイミング法、AIH4 回。転院後4AB、4BB、3BB の胚盤胞を移植するも陰性に。主治医は「相性の合う受精卵と出会っていないからコツコツ移植するのがよいのでは」とのこと。現在はエストラーナ®テープとワンクリノン®を使用中。残り3BB、3BC の胚盤胞があり、保険適用が残り3 回なので、その範囲内で妊娠したいです。今までにやってきた以外の方法はありますか。またやめているラクトフェリンのサプリは、復活させたほうがいいですか。

医学博士・産婦人科専門医・日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医・日本生殖医学会生殖医療専門医。2018年、体づくりができるフィーカレディースクリニック(東京・日本橋)を開院。佐藤病院院長・高崎ARTクリニック・Fika Ladies’ Clinic理事長を務める。専門分野だけでなく、栄養学や抗加齢医学などの知識も深く、患者さんにも積極的に生活習慣の改善を指導。
わいさんの現在の体外受精の治療方針についてどうお考えでしょうか。
佐藤先生●そうですね。今、わいさんは保険診療で治療をされていると思うので、残っている2個の胚盤胞を戻すのがいいでしょう。ただ、残っている胚盤胞は3BB、3BC ですよね。今まで4AB、4BB、3BB という良いグレードの胚盤胞を移植しても妊娠しなかったことを考えると、妊娠できる可能性は低くなります。これらの胚盤胞を1つずつ移植すると、残っている3回の保険のうち、2回分を使ってしまうことになります。そういったことを考えると、双胎妊娠のリスクはありますが、妊娠率を高めて保険適用の回数を抑えられる2個同時移植を行うのがいいのではないかと思います。
主治医の「相性の合う受精卵と出会っていないからコツコツ移植」という意見についてはどうでしょうか。
佐藤先生●それについては主治医の言う通りだと思います。わいさんは30歳で、グレード的にも特に問題のない受精卵を移植しているのに妊娠しないのかと思われるかもしれませんが、人間の体はまだ解明されていないことも多く、やはり、妊娠する受精卵と出会うまでコツコツ戻していくことが大切だと思います。ただ、同じことをくり返していくことに焦りを感じているわいさんのお気持ちもとてもよくわかります。ですから、プラスでやっておくとしたら、相性の合う受精卵に出会った時、それを着床させる環境が整っているかなど子宮内膜のチェックはしておいてもいいかもしれません。
ただ、保険適用外のため自費になるのと、保険診療で採卵、移植と体外受精を行っている間は検査ができないため、別の周期に行う必要があります。
以前ラクトフェリンのサプリを飲んでいたそうですが、費用面で現在はやめてしまっているそうです。サプリの服用を再開したほうがいいですか。
佐藤先生●ラクトフェリンは、子宮の環境を整え、それによって着床率を高める可能性があるといわれています。妊娠してからも継続することで子宮環境が整えられ、流早産のリスクを減らすことも期待されています。しかし、現段階ではそれを裏付けるデータとして十分なものが揃っているとは言いにくい状況です。それでもわいさんが飲むことで前向きに妊活に取り組めるなら、飲んでおいてもいいでしょう。