▶卵管閉塞の手術は受けたほうがいい?
不妊治療歴は2~3年で、現在はクリニックへ通院中。1年前に卵管造影検査を受け、右卵管が閉塞していると診断されました。まだ治療はしていませんが、排卵前後に右下腹部にチクチクした痛みや引っ張られるような感覚があります。閉塞しているとこのような痛みや違和感などの症状が出るものでしょうか。また卵管とほかの臓器が癒着していると痛みは起こりますか。よく閉塞している右側から「排卵しそう」と言われるので、手術を受けるか迷っています。

東邦大学医学部卒業、東邦大学医学部大学院修了。医学博士(
右側の卵管閉塞の原因としてはどんなことが考えられますか。
福田先生●卵管は、卵巣から飛び出た卵子が通り、精子と出会って子宮に移動していくまでの「通路」のような役割をしています。繊細な臓器なので、虫垂炎やひどい胃腸炎、クラミジア感染などが原因で閉塞してしまいます。数としてはわりと多く、たとえば10人患者さんがいたら1~2人に閉塞が認められ、なかには両側とも閉塞している方もいます。
右下腹部にチクチクした痛みや引っ張られる感覚は、卵管閉塞と関係していますか?
福田先生●卵管が閉塞しているだけならば、痛みや引っ張られるような感覚が生じることはありません。さくらさんの場合、排卵前後に痛みが生じているようなので、おそらく排卵による卵巣の痛みだと考えられます。ただし、子宮内膜症や卵巣囊のうしゅ腫、卵管炎などがある場合、周囲の臓器と癒着することによって下腹部や腰などに痛みが生じるケースがあります。ほかの臓器と癒着を起こしているかは、お腹の中を診る必要があるでしょう。
卵管閉塞にはどんな治療法がありますか。
福田先生●まずはFTカテーテル法があります。これは先端に卵管鏡と風船がついたカテーテルと呼ばれる細い管を腟から子宮、卵管へと挿入。カテーテルの先についた風船をふくらませながら少しずつ進め、卵管の狭くなっているところや閉塞部分を広げます。この方法は子宮からすぐの部分が閉塞している場合に有効です。ただ、もっと先の卵管采のほうが閉塞している場合は、腹腔鏡で手術するのがいいでしょう。詰まっている部分や程度によってはFTカテーテルと腹腔鏡を併用することもあります。デメリットとしては、手術にかかる費用が保険適用で30万円前後と高額なこと。また、通常の手術同様、感染症のリスクがあります。