【Q&A】続けて採卵するか、移植が優先か~田口早桐 先生【医師監修】

ayapadaさん(43歳)

今の夫と出会った時にはすでに私は43歳。夫は11月で47歳になりました。

生理も基礎体温とほぼ一緒で概ねタイミングは合っていたと思うので、何度か自然妊娠できなかったことで、不妊治療へ踏み込みました。

ブライダルチェックで私の風疹抗体が低めだけど、ワクチンするよりは早く妊活に入った方がいいと言われ、特にワクチンを勧られませんでした。
今のクリニックでは、任意だけどできるだけワクチン接種を勧めているとのことで、すぐにワクチン接種しました。そのため2ヶ月は移植できず、凍結することになったので胚盤胞までの凍結でお願いしました。体調に問題なければ3月に移植予定です。

年齢的にも採卵で採れる卵は多くなく、今後移植した時にも着床できるか、着床できても流産のリスクが高いことを考えると続けて2月も採卵して少しでも若い時の受精卵を凍結してた方が良いか、それともしっかり2ヶ月ホルモン治療せずに体調整えて3月の移植を迎えた方が良いか……悩んでいます。
続けて採卵することのメリットとデメリットを教えていただきたいです。

また、43歳なので全て自費になることでの経済的負担も迷う要因のひとつです。年齢的にそんなに採卵できないじゃないかという不安もあります。

1回の受診するだけでも料金が重なるので、相談での受診などは控えており、受診時に聞けることは聞いています。

オーク銀座レディースクリニックの田口早桐 先生にお伺いしました。

オーク銀座レディースクリニック 田口早桐 先生
川崎医科大学卒業、兵庫医科大学大学院修了。兵庫医科大学病院、府中病院を経て、大阪・東京で展開する医療法人オーク会にて不妊治療を専門に診療にあたっている。近著に、「ポジティブ妊活7つのルール」(主婦の友社)がある。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

●治療データや検査歴等を見て、どのような印象をもたれましたか?

年齢から正常卵子の割合が減っているので早めに採卵をしたほうがいい。内膜症の手術歴や年齢にもかかわらず、AMHが保たれているし、胚盤胞にも到達したので、卵巣機能は良いほうだと思います。

●ayapadaさんの年齢と卵子の質を考慮した上で、続けて採卵を行うメリットとデメリットについて、先生の視点から教えていただけますか?

クロミッドでのマイルドな刺激方法でもあることだし、続けて治療することは問題なしです。メリットは少しでも多く卵子(胚)が確保できること。デメリットは、採卵が本人の身体的経済的ストレスになることです。

●体調やホルモンの状態を整えることと、若い時の受精卵を確保すること、どちらを優先すべきでしょうか?

過度に体調を気にしていると、機会を逃す可能性があります。とても体調が悪い時は避けるべきですが、ちょっと風邪を引いたなどのことで卵子の質が下がってしまうことはありません。受精卵確保を優先すべきだと思います。

●風疹抗体のワクチン接種を行ったことで「移植が2ヶ月遅れた」とのことですが、これが今後の治療にどのように影響すると思われますか?

いったん凍結した胚に関して、移植はいつ行っても成績に違いはありませんので、数か月の遅れは問題ありません。

●経済的な負担があるなか、自費治療で最もコストパフォーマンスが良い治療法について、先生の意見をお聞かせください。

AMHが1.62とのことですから、高刺激(連日注射)で一度に数多く採卵するのも採卵回数が減っていいかもしれません

ayapadaさんは採卵の回数や受診の頻度を減らすことで経済的負担を軽減しようと考えているようですが、このようなアプローチが治療の効果にどのように影響すると思われますか?

高刺激で採卵を行って一回の採卵で多くの卵子を取るというアプローチが有効だと思います。低刺激に比べて最初から排卵抑制をかけることで、受診回数を減らし、一回の採卵で多くの卵子を採卵することで、採卵回数を減らせます。
治療全体への効果としては、高刺激で採卵回数を少なくした場合と、低刺激で回数を多くした場合では、総回収卵子に対する成績では、違いがない可能性が高いです。ただし、経済的負担の側面からは、ある程度卵巣の反応が期待できる場合は、高刺激のほうが有効だと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。