Ponさん(37歳)2人目希望で治療しています。1人目は緊急帝王切開です。
1人目の時の正常卵2個移植終えて、陰性が続きました。
着床の窓の検査だけ今回の移植前にしてズレなしで移植していますが、着床すらせず陰性でした。
正常卵はないため次は採卵からスタートです。採卵しながらや、移植までにできる検査はありますか?
また、今後何かしらの癒着(帝王切開の影響)などあればどんな治療があるのか、治療するとなるとどのくらいかかるものなのかも知りたいです。
高齢のためできるだけ早く移植(胚盤胞ができなければそこにも辿りつきませんが)妊娠出産に至りたいため、どの程度治療に時間がかかると思われますか?
覚悟したいため教えていだだきたいです。
【医師監修】いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生
1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
●Ponさんの場合、再度採卵を行う前に推奨される追加の検査はありますか?
基本的な検査は受けられていることを前提に回答します。子宮内フローラ、慢性子宮内膜炎検査、場合によっては子宮鏡の検討も。これは以下の質問の回答にも関連します。受精卵についてはPGT-Aも検討の候補になるでしょう。
●帝王切開の影響で何かしら癒着があるかを確認するための診断方法を教えてください。超音波検査、子宮卵管造影検査、子宮鏡等が有効と考えます。
●癒着が確認された場合に考えられる治療法を教えてください。また、その治療にかかる期間はどの程度でしょうか?
「癒着」が帝王切開とその出産に関わって起きたものによるものと限定すれば、子宮内または子宮縫合部での癒着でしょうか。子宮内の癒着であれば子宮鏡下に手術が検討されますし、子宮縫合部の癒着は不妊治療には直接影響はしないものと考えます。ただし、子宮内の癒着が帝王切開で起きることは極めてまれです。もし、子宮内腔に癒着が存在し、それを治療した場合、術後3か月程度は妊活の休止が必要でしょう。
帝王切開の影響に関連した帝王切開瘢痕症候群が近年注目されています。帝王切開術後で切開した子宮の筋肉どうしがうまく癒合せず、子宮壁の菲薄化や、子宮内に粘液が貯留した状態を帝王切開瘢痕部症候群といいます。
①妊娠糖尿病 ②複数回の帝王切開術 ③肥満 ④子宮口開大後の緊急帝王切開術 ⑤子宮後屈 がリスクとなります。
子宮内に粘液が貯まると着床障害の原因となることがあり、薄くなってしまった子宮の壁を切り取る手術を行うことで妊孕性が改善する可能性があります。
また稀ではありますが、薄くなった子宮の壁が妊娠に耐えきれず、子宮破裂を起こすことがあります。
●高齢であるPonさんが覚悟を持って次のステップに進むために、次の採卵から移植、そして妊娠出産に至るまでの具体的な治療計画や、予想される期間について、先生の考えをお聞かせください。
少しでも早い時期に受精卵を獲得したほうがいいと考えますので、まずは採卵―体外受精でしょうか。良好胚の凍結できたら、上述の諸検査、場合によっては治療が必要となるでしょう。しかるべき対応ののちに胚移植を計画となると3~6か月程度、状況次第ではそれ以上の時間を要するのではないでしょうか。