【Q&A】移植時の内膜の厚さ~小川達之 先生【医師監修】

ゆあさん(36歳)

ホルモン補充周期、凍結融解胚移植(5AB、AHAあり)
移植3日前にSEET法実施(その際血液検査、エコー検査なし)
移植後の診察にて、血液検査(移植の30分前)P4:0.05/E2:203と報告。移植時は内膜の厚さは測ってないのか?報告なしです。(前回の2回分の移植時は、E2:12702580/P4:116.52213 内膜の厚さは不明)
保険適用の回数もあと僅かで、焦っています。
①今回の数値や内膜の厚さは着床等に影響はありますか?
②移植前に内膜は確認しないこともありますか?
③同じホルモン補充周期でも数値が変わるのはなぜですか?
④今後の移植成功に向けて必要な検査や移植の方法を教えて下さい。

亀田IVFクリニック幕張の小川達之先生にお伺いしました。

【医師監修】亀田IVFクリニック幕張 小川達之 先生
2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
ホルモン補充周期の胚移植のための子宮内膜の厚さは、黄体ホルモン剤を使用する前の時点の厚さを最も参考にする施設が多いと思います。また、黄体ホルモン剤を開始すると子宮内膜が少し薄く見えるようになることも少なくないことや、来院時には既に凍結胚を融解していることなどもあり、移植当日の内膜の厚さは参考程度にしている施設が多いのではないかと思います。
その結果、移植当日は計測しない、あるいは計測していても心配させないようお伝えしていない施設もあるのかもしれません。そして、黄体ホルモン剤を開始することで内膜が少し薄くなっても妊娠率は変わらないという報告があります。
一般的に、国内で保険適応となっている4種類の黄体ホルモン腟剤のどれを使用していても、ホルモン補充周期の胚移植当日の血清プロゲステロン値は10 ng/mL前後になることが多いです。直前の投与時間からどれくらい経っているか、ご本人の体格、あるいは個人差などによって血清プロゲステロン値は多少異なります。
また、黄体ホルモン投与開始前ですと、思いがけず卵胞発育していたなどでなければ通常1 ng/mL未満となります。ご心配であれば、本当に胚移植日の数値であったのかどうかも含めて主治医に相談してみてください。
これまで毎回ホルモン補充周期での胚移植で結果が出ないのであれば、排卵周期での胚移植が検討されます。全体としてはどちらの方法も妊娠率は同程度ですが、個別に誰にどの方法が合っているかはわかりませんので、主治医とよくご相談ください。応援しています。
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