こらとろさん(32歳)
ここ半年を振り返ると28~40日周期できておりましたが、7月だけ生理がなく55日間隔になっていました。回答する際にその時期は繁忙期でストレスもあったことを伝えました。
医師の意図としては「検査値からAMH10.7と高く、テストステロンも0.48であり生理不順もあれば多嚢胞性卵巣症候群の可能性があるから確認した」とのことでした。
私が上記のように生理周期の回答をしたことで、「不順じゃないって言ったから多嚢胞性卵巣症候群の検査はしない。だけど多嚢胞性卵巣症候群の可能性もあると思うんだよね。でも不順じゃないって言われたらできないんだよ。治療が始まればその辺もわかってくるよ」と言われました。
多嚢胞性卵巣症候群は不妊原因の一つにもなり、投薬治療等の必要もあることを聞いたことがあるため、必要性が少しでもあるなら検査を実施してほしいというのが私の気持ちです。
そのために医師にも「希望するなら検査してもらえますか?」と伝えましたが、「時間もかかるし、費用もかかるから…」と承諾をいただけませんでした。
しかし、調べれば調べるほど、この検査をスキップしない方がいいのではないかとモヤモヤした気持ちでいっぱいになりました。モヤモヤを抱えたまま治療に向かうのは後悔しそうだなと思い、今回他の先生の考え方もお伺いしたく相談いたしました。
蔵本先生に質問してみました。
お話の全体からみると、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と思われます。
日産婦(2024年)のPCOSの定義は
1.月経周期異常
2.多嚢卵巣またはAMH高値
3.アンドロゲン高値またはLH高値(スパック-S法でLH7mIU/ml以上かつLH値がFSH値より高い)
この3つが全て満たされるとされていますが、月経不順なときもありPCOSと言って良いと思います。
血中ホモシステインが高値なので、葉酸は800µg/日を摂取することが必要で、ビタミンDは低値なため、ビタミンDの継続摂取も必要
です。男性ホルモンは日本ではあまり高値の方は少なく、当院のテストステロン基準値(0.1~0.5µg/ml)からみると、テストステロンはそれほど問題ではないですが、LH高値、LH値がFSH値より高い、高AMH値などから見ても、PCOSでホルモン環境の乱れがあると思います。
PCOSの方はインスリン抵抗性が高い方が多いため、これが高いと卵巣の反応性が悪くなることがあり、空腹時の血糖値とインスリン
値を測り、これらを掛け合わせて405で割り、1.6未満が正常、2.0以上はインスリン抵抗性があるため、メトホルミンを服用します。
これまで不妊治療をしていない様でしたらフェマーラという排卵誘発剤を服用して卵胞発育を待ち、タイミング法を数回、続いて人工授精を4回程度行います。なお、多胎妊娠防止のため、強い刺激は控えて一般不妊では発育卵胞数は2個までにします。これまでにタイミング法を行っていれば、すぐに人工授精からでも良いです。これで妊娠しなければ卵巣の腫れに注意しながら、体外受精(採卵当日の精子が不良なら顕微授精)を行います。
卵胞が発育すれば、妊娠のチャンスは十分にあります。