前病院も含め、胚盤胞まで育ちません。
6日胚盤胞で状態不良のため培養中止、という結果が今までで一番良いものでした。
どこの病院もだめなので、これは卵の質の問題と考えるべきでしょうか?
浅田先生に聞いてきました。
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
卵子の質が発育不良の理由として取り上げられますが、非常に疑問があります。胚の遺伝子の組み合わせは、一つずつ兄弟姉妹のように全て異なっています。それを変えることはできませんし、胚の一つひとつは兄弟姉妹のように個性があり、何十個かに一つが赤ちゃんまで育ちます。39歳くらいであれば、世界平均において20~30個の受精卵で一人の赤ちゃんが生まれます。
基本的にはカップルお二人の遺伝子の組み合わせによるため、少ない数で赤ちゃんが生まれる方がいれば、より多く必要な方もいらっしゃいます。また、受精卵ができても年齢と共に染色体異常が次第に増えます。
卵子の質として変えられるものは、採卵時の卵子の成熟度だけだと考えてください。卵子は生まれる前の胎児のときに作られて、その後は二度と作られず休眠しています。それが排卵の半年前から育ち始めるため、長い眠りについていた卵子に対して、半年間での遺伝子再稼働の最後の仕上げをしているのが卵巣刺激です。適切な卵巣刺激によって成熟度のよい卵子を採ることが、胚盤胞到達率・受精率・妊娠率に大きく影響します。卵子を受精させる操作・長期間培養する操作は、胚盤胞到達度、つまりよい胚盤胞ができるかどうかに繋がります。
体外受精は体質を変えることで成績が変わると考えている方がいらっしゃるかもしれませんが、全て医療技術によるものです。卵巣刺激技術、採卵技術、受精技術、培養技術、胚盤胞で着床前遺伝学的検査をするなら、その生検技術のように、それぞれの施設に特有の技術があります。もし妊娠という結果が出なければ、転院をして不妊治療施設のステップアップをすべきと私は思います。
卵巣刺激が何より大切であり、ライフスタイルで卵子の質をよくすることは不可能です。培養技術が十分にある施設を選んでください。