2度目の流産でした。治療を再開する前に不育症の検査をすべき?

ナツコさん (40歳) 
妊娠9 週後、2 度目の流産をしました。産科での絨毛染色体検査は正常。治療していたクリニックでは「流産は染色体異常によるもので、不育症ではない」とのことでした。自費診療も視野に入れて治療をしたいと考えています。次の生理がくる前に、タイミングを取って妊娠することは可能でしょうか?流産手術後16 日目と18 日目に排卵検査薬を試し、陽性。基礎体温は低温期のままです。治療再開する場合、不育症の検査をしたほうがいいのでしょうか?

神谷レディースクリニックの岩見先生に聞いてきました

神谷レディースクリニック 岩見 菜々子 先生
札幌医科大学卒業。2014 年より神谷レディースクリニック勤務。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本産科婦人科学会認定専門医。日本抗加齢医学会専門医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

流産後の排卵で生理がくる前にタイミングを取って妊娠することは可能でしょうか?

岩見先生● 月経が再開する前に妊娠する可能性はゼロではありません。流産後に月経がきていなくても、妊娠される方は自然妊娠ではあり得ます。
ナツコさんの場合、排卵検査薬では陽性、しかし低温期のままですよね。これは偽陽性といって、排卵していないのに検査薬が陽性になることを言います。胎盤の遺残など、組織が子宮の中にまだ残っていて、体内にまだ妊娠のホルモンが微妙に出ている状態なのだと思います。その妊娠のホルモンを排卵検査薬が陽性ととらえているのではないでしょうか。手術でほとんどの組織が排出されますが、ごく少量何らかの妊娠に関する成分が残っていて、偽陽性というのはよくあります。低体温のままなので無排卵の状態なのかと思います。月経が再開してから妊活を進めるほうがよいかと思います。

ナツコさんの場合、不育症の検査を行うことを推奨されますか?

岩見先生●何かほかに流産しやすい素因がないか、調べたほうがいいでしょう。一般的な検査としては、血液凝固異常や抗リン脂質抗体症候群などリスク因子を採血で調べます。また自費検査にはなりますが、血液中に含まれるTh1/ Th2 の比率を測定する血液検査もあります。どこまで検査されるかですが、子宮の形態異常を検査したり、甲状腺ホルモンを検査することもあります。ほかには、検査ではありませんが、妊娠中のビタミンDの不足は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、不育症の危険因子にもなるため、ビタミンDの摂取が足りていないのであれば、サプリメントで補うといいかもしれません。今のクリニックが不育症にあまり積極的でないのであれば、一度、不育症の専門クリニックを受診されるのも一案だと思います。

今後の治療についてアドバイスをいただけますか?

岩見先生●ナツコさんは妊娠しているので妊娠できる能力はあると思います。ただ年齢とともにどうしても染色体異常の割合も高まるので、着床前診断(PGT-Aなど)を受けることをおすすめします。不安材料をもったまま悶々と治療を続けるよりは、ある程度、自分の対処できることをわかったうえで治療を進めるのがよいと思います。
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