2回連続流産に…。不育症検査などをしたほうがいいですか?

りんごさん(38歳)

最初、自然妊娠しましたが、心拍確認前の7週で完全流産に。
子宮鏡検査をしましたが異常なし。その後、不妊治療専門クリニックを受診。そこで15 個採卵し、6 個胚盤胞になり凍結しました。その後、別の周期にグレードの一番良い4ABを移植するも陰性。その翌月4AB と4BB を移植して一度は陽性になったものの、また流産。凍結胚が3つ残っているので、移植はしたいのですが、もう流産は繰り返したくありません。
不育症検査やPGT-A を検討したほうがいいですか。

産科婦人科舘出張佐藤病院・高崎ARTクリニックの佐藤先生に聞いてきました

【医師監修】産科婦人科舘出張佐藤病院・高崎ARTクリニック   先生 
医学博士・産婦人科専門医・日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医・日本生殖医学会生殖医療専門医。2018年、体づくりができるフィーカレディースクリニック(東京・日本橋)を開院。佐藤病院院長・高崎ARTクリニック・Fika Ladies’ Clinic理事長を務める。専門分野だけでなく、栄養学や抗加齢医学などの知識も深く、患者さんにも積極的に生活習慣の改善を指導。

りんごさんは過去2回流産を経験されています。このようなケースの場合、先生のクリニックでは、不育症検査を推奨されていますか。

佐藤先生●2回流産をされているとのこと、とてもつらかったと思います。ただ38歳という年齢を考えると、約
15~20%流産する可能性があります。そういった確率から考えると、病気やトラブルなどなんらかの原因でなくても、偶然2回続けて流産することは、あり得ることです。
不育症の検査は、通常、3回流産を繰り返す習慣性流産の方が検査を受けることが多いのですが、りんごさんの年齢や「流産を繰り返したくない」というお気持ちを考えると、今の時点で不育症検査を受けておくのもありだと思います。

不育症検査とはどんな検査ですか。

佐藤先生●まず、血液検査を実施します。繰り返し流産の原因となる代表的な疾患である抗リン脂質抗体症候群の確認をはじめ、血液の凝固異常、ホルモンバランス、免疫機能、糖尿病や甲状腺の疾患の有無を調べます。ま
た、必要に応じてご夫婦の染色体異常も確認します。
さらに、子宮鏡検査や子宮卵管造影検査、超音波検査を行い、子宮内膜ポリープ、子宮内癒着、子宮奇形などの子宮の形態的異常がないかを確認します。

りんごさんはPGT-Aも検討されているようです。

佐藤先生●受精卵の染色体数に異常がないかを移植前に調べるのがPGT-Aです。ただこの検査は保険適用外となるので、今、凍結している胚は使えません。採卵から検査、移植まですべて自費で行うことになります。ちなみに自費の費用は保険診療の2~3倍かかると想定しておいてください。

りんごさんは今後、どのような治療をしていくのがいいでしょうか。

佐藤先生●基本は保険診療内で治療をするのがいいでしょう。まず不育症の検査を受けて問題がないかを確認。そこで問題が見つかったらその治療を優先させてください。もし問題が見つからない場合は、すでに保険で採卵した凍結胚を移植してみるのがいいでしょう。残っている凍結胚は3AB、4BB、3BB なので、グレードの良いものから移植してみるといいと思います。
当院でもBBの受精卵で妊娠された方はいます。AMHも低くないので、自信をもって治療に励んでくださいね。

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