1人目は自然妊娠で出産し、2人目を希望して3年近く経ちました。
タイミング後、AIH4回してから転院し、体外受精3回目(胚盤胞移植)が陰性となりました。
原因不明で医師からは「相性の合う卵と出会っていないだろうからコツコツ移植するのが良いのでは」とのことでした。
現在はエストラーナテープとワンクリノンを使用しています。
胚盤胞が残り2個(3BB,3BC)で保険適用があと3回と折り返し地点になり、このまま同じ治療方法を繰り返す以外にも方法があるのか、悩んでいます。
また、以前ラクトフェリンのサプリを飲んでいましたが費用面でやめてしまっていました。また飲み始めてみるかも迷っています。
【医師監修】いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生
1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」
●現在の体外受精の治療方針について、先生でしたらどのような提案をされますか?
2回良好胚盤胞移植で不成功ですので、移植スケジュールや使用薬剤などの見直しや、子宮内フローラや慢性子宮内膜炎、着床ウィンドウの検査なども(先進医療なども含まれ、自費にはなりますし、実施医療機関も限定されます)検討を勧めます。妊娠出産歴がありますので、着床不全や不育症は考えにくいとは思いますが。
また、2個同時移植も、保険診療での胚移植回数制限や、胚盤胞のグレードなどを鑑み検討の余地はあると思います。もしくは2個のうち最初は1個移植して、不成功だった場合に、あくまでも2個同時移植を前提にしてということになりますが、凍結胚1個を残した状態で採卵を計画(良好胚の獲得を目指す)という方針も検討に値するのではないでしょうか。
●「相性の合う卵と出会っていないだろうからコツコツ移植」との主治医の意見に対してどのように思われますか?
この内容にも一理あるかとは思います。ただ、上記のように起こりうるアクションもあるので、そういったことも検討してみてはいいのではないかと思います。
●わいさんが現在使用しているエストラーナテープとワンクリノンについて、その効果や副作用、使用期間について教えてください。
エストラーナテープは卵胞ホルモン製剤であり、ホルモン補充周期における卵胞ホルモンとしての役割をもち、主に子宮内膜の増殖(十分な厚みをもたらす)ことを期待して使用します。皮膚から吸収されるので、薬剤の肝臓に対する負担が内服薬に比べて少ないことは利点でしょうか。
副作用としては貼付剤のため肌の弱い方には皮膚炎やかぶれに似た症状が出ることがあり、貼付位置を移動させたりするなどの工夫が必要な患者さまもいらっしゃいます。
ワンクリノンジェルは黄体ホルモン(プロゲステロン)製剤で、腟内に注入するジェル剤です。1日1回の注入となっており、他の黄体ホルモン膣剤より使用回数が少ないのは利点です。黄体ホルモン膣剤は効率よく子宮内でのプロゲステロン濃度を高めることに有利な薬剤といえます。
そのほかにルティナス腟錠、ウトロゲスタン腟カプセル、ルテウム腟坐剤があり、製剤による妊娠率の差はないということになっています。が、個人的にはワンクリノンは血中プロゲステロンの上昇はあまり高くないことが多く、データ上の不利はないということになっていても若干の不安があり、当院での使用頻度は少ないです。また、どういうわけか帯下の増量も高頻度にみとめられ、これを不快に感じる患者さんも多い印象です。当院ではエストラーナテープは妊娠8週まで、黄体補充用腟座薬は妊娠10週までの使用を原則としています。
●ラクトフェリンの効果やその必要性について教えてください。
子宮内フローラの改善や抗酸化作用による卵などの質の向上に期待できるサプリメントです。このため、当院では子宮内フローラや腟分泌物培養で、乳酸菌の比率の低い方を中心に摂取を勧めています。
相談者さまに必要かどうかは情報が少なく判断しかねますが、一般的な抗酸化作用等に期待して摂取することも十分根拠になるのではないでしょうか。