11/5に採卵したら卵が4個採れました。翌日に受精の確認をする予定なのですが初期胚凍結するか胚盤胞凍結するか選ばないといけません。
受精結果にもよると思いますが、私は現在43歳、旦那50歳、胚盤胞まで育つのかという気持ちと、妊娠率が上がるなら胚盤胞まで育てたいという気持ちと、初期胚凍結した方が卵の環境には良いならその方がいいのかという気持ちとで迷っています。今後のためにアドバイスお願いします。
浅田先生に聞いてきました。
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。
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43歳でAMHが低く、ご主人は50歳です。初期胚で移植した方がよいのか、胚盤胞で移植した方がよいのか迷われているとのことですが、胚盤胞の到達率は、歳を重ねると年々低くなっていきます。胚盤胞培養は体外で培養する技術で、20年程前から、本格的に始まりました。医療者の培養技術、培養液、培養器が向上したことなどで、少しずつ胚盤胞到達率がよくなってきたといえます。
胚盤胞まで培養するのが100%よいのではなく、卵子が多くある場合は胚盤胞まで培養すると発育に差が出るので、移植胚を選ぶのによいと考えていただいてよいでしょう。高齢で特に卵子が少なければ、胚盤胞培養にこだわるとかえって移植の機会が減ってしまうかもしれません。子宮の中では育ったかもしれない卵子を、体外で弱らせているという可能性も否定できません。最近は胚盤胞培養の技術が非常に進んでいますので、極端に悪くなることは考えなくてよいと思いますが、体外培養と子宮内環境は全く同じではありません。
ご主人の年齢を気にされていますが、精子の数が少なくても、運動率が悪くても、顕微授精で受精卵になれば、ご主人の年齢は関係ありません。精子は常に約3ヶ月前から作られ始めた新しい細胞だからです。逆に、生まれる前に作られた卵子は43年経っていますので、多くが傷んでいます。43歳頃になると、受精卵になっても多くは染色体異常がある受精卵になります。そのため妊娠率は下がり、流産率も極めて高いのです。
染色体の数の異数性をみるのがPGT-Aの検査ですが、胚盤胞まで育てて胚盤胞で検査しないとメリットがないことがわかっています。胚盤胞が多く採れる方は、PGT-Aを行い、移植の回数を減らすことによって効率よく成績を上げることができるのですが、質問者さんの場合は卵子の数が少ないので、胚盤胞培養にこだわらず移植していくのが効率のよい治療法と考えます。