ののさん(29歳)
9/25の内診で11~13mmの3つ卵胞が育っていると言われ、9/30に再度内診したところ、3つの卵胞がなくなっていると言われました。9/30の朝に排卵検査薬は陽性になっており、それも伝えたのですが、「多嚢胞性卵巣症候群による小さい卵胞に反応してしまったのでは?」と医師に言われました。
医師からは「排卵したかもしれないし、萎んでしまったかもしれない」という曖昧な診察で、また10/5に卵胞チェックのため受診し、リセットするかどうか決めるととのことでした。
タイミングは9/28と9/30にとっています。
卵胞が3つもあったのに消えてしまうことはあるのでしょうか。また、排卵後の状態は内診エコーではどのように見えるのでしょうか。その場で排卵したかどうかわからないものですか?
オーク銀座レディースクリニックの船曳先生にお話を伺いました

日本生殖医学会生殖医療専門医・指導医。日本産科婦人科学会専門医。母体保護法指定医。神戸大学文学部心理学科、兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学、西宮中央市民病院、パルモア病院勤務を経て医療法人オーク会へ。エジンバラ大学で未成熟卵の培養法などを学んだ技術と自らの不妊体験を生かし、患者さんのライフスタイルなどに合った診療を行う。また、早くから不妊と肥満の関係性に着目し、2ヶ月で14kgの減量に成功した患者様の排卵障害が改善したことから、ダイエット・プログラムを発案。国内外の学会発表多数あり。
確認された11~13mmの3つの卵胞が、5日後に確認できなかった理由について、どのような可能性が考えられますか?
三つの可能性があります。
(1)卵胞発育し排卵した。
(2)卵胞小さいで排卵した。
(3)発育停止し縮小した。
可能性は(1)が最も高く、次に(3)次に(2)でしょうか。
「多嚢胞性卵巣症候群による小さい卵胞が排卵検査薬に反応する」という事象について、詳しく説明をお願いします。
多嚢胞性卵巣ではもともと血中LHが高いので、排卵と関係なく陽性がでたという意味ではないでしょうか?
または、小さめだが複数の卵胞からでた女性ホルモンの合計によりLHサージが起きてしまった、という意味かもしれません。LHサージとは脳から分泌されるLHホルモンの急激な上昇のことです。
通常一つの卵胞が17mm以上になると、卵胞から分泌される女性ホルモンは200pg/ml以上になり、LHサージが開始します。血中LHは40ng/ml以上に上昇し尿LHが20以上になり排卵検査薬で陽性がます。卵胞が12mm程度で女性ホルモンを100 pg/ml程度分泌しますので 卵胞が複数個できて女性ホルモンが増えてLHサージが起きてしまった可能性を示唆されたのかもしれません。
通常卵胞サイズでLHサージがおきると排卵しますが、小さいサイズでもしLHサージが起きると、小さいサイズのまま排卵する場合と発育停止し閉鎖卵胞になる場合があるようです。
排卵後の卵胞の状態は、内診エコーではどのように確認されますか?また、その特徴について教えてください。
排卵直後は袋が破れたように見えることもありますが、単に小さい卵胞のように見えたり、といろいろです。未破裂の様に大きい卵胞様に見えることもあります。
タイミング法において、排卵が確認できない場合はどのような対応が推奨されますか?
排卵直後が疑われるときは当日タイミングとってもらう。はっきりしないときは、かつ数日後発育卵胞ができているか確認する。黄体かどうかは黄体ホルモンの採血で確定できますが、保険適応になるかはわかりません。
ののさん場合、 再診時に何を確認し、どのような判断を下すべきと考えられますか?
子宮内膜の状態、卵胞の状態より、排卵前の卵胞発育あれば、タイミングまたは、フーナーテスト再検または、人工授精をする。排卵前卵胞がなく、発育不良が考えられるならホルモン剤で人工的に消退出血を起こして次の周期に行く。 排卵後が考えられてタイミングもとっているなら黄体ホルモンを補充する。育ちかけの卵胞があれば、FSH製剤で刺激する。などが考えられます。