【Q&A】良好胚盤胞でも着床しない。対策は?~髙木先生【医師監修】

ぺこさん(29歳)

良好な胚盤胞、内膜の厚さ(15mm)で移植しても着床すらしませんでした。
受精卵の能力かもしれませんが、より着床の可能性を高めるために自分でできることは何でしょうか?
また、そもそもなぜ自然妊娠ができないのでしょうか…?

津田沼IVFクリニックの高木先生に伺いました。

津田沼IVFクリニック 院長 髙木 亜由美 先生
千葉大学医学部附属病院、千葉メディカルセンターなどで不妊治療に従事。特に千葉大学医学部附属病院時代に、専門の生殖医療や内分泌医療のほか、不妊の患者様の腹腔鏡手術や子宮鏡手術等も数多く経験する。その後、2024年9月より津田沼IVFクリニックの院長に就任。それぞれの女性にあったきめ細かい医療を目指す。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

胚盤胞が良好であるにも関わらず、着床しない、自然妊娠が難しい原因についてどのような可能性を考えますか?

検査でもわからない不妊原因の割合は約11%あり、実はそこがとても重要で難しいことだと思います。受精障害、卵管の動き、内膜の環境、免疫系などは一般不妊では通常わかりません。体外受精をして、それでうまくいかなかったときに調べて初めてわかることもあります。ぺこさんは幸い良好な受精卵ができているので、そこはとても有利です。その先の原因を考えていきましょう。

内膜の厚さが15mmの場合、これが着床に影響を与える可能性はありますか?

厚さとしては特に問題ないと思いますが、月経不順がベースにあるようなら、個人的には月経調整で内膜状態を整えたいと思っています。子宮鏡検査もされているのでポリープや内腔の形態異常などの器質的病変はないということと解釈します。内膜に荒れた部分があって抗生剤治療をされているということなので、フローラの調整をする必要があるのではないかと懸念されます。

ぺこさんのようなケースでは、先生でしたらどのような治療法を提案されますか?

前述の通り、内膜フローラの改善はすると思います。また、月経痛が強そうなので、子宮の攣縮を抑えるために移植時の子宮収縮抑制薬を使用することも考慮されます。あとは、月経の様子(前後の不正出血)から黄体機能不全やホルモンが安定しない要素がありそうなので、自然周期でなくホルモン補充周期、できればERAを施行して対応するとよいです。また、CD138の検査が子宮の屈曲によりできなかったということから、胚移植の難しさがありそうです。移植がスムースにできるということはとても大切で、そこはとても気になります。そういう方は一定数いらっしゃるので、当院では事前に個別のガイドを用意してスムースに行えるか確認しています。状況によっては免疫系を検査します。

着床の可能性を高めるために、ぺこさん自身ができる具体的な行動や生活習慣の改善点などアドバイスをお願いします。

すでに調整済かもしれませんがTSH値とビタミンD、銅、亜鉛の値は整っているか移植前に確認しましょう。プレコンセプションケアに通じますが、生活習慣では、ストレスをためない生活、運動習慣(1回30分以上の運動を週2回以上。血流は大事。)、睡眠時間を8時間目標にとる、適切なサプリ摂取と食事や体重管理などです。体と心が元気なことも大切です。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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