【Q&A】自然周期の移植も試すべき?~加藤 徹 先生【医師監修】

星影さん (40歳)  
9回目の胚盤胞移植を予定しています。
過去全てホルモン補充周期で7回目の時に2個移植して初めて着床し、胎嚢確認までできましたが4日後に出血して流産となりました。8回目移植の前に慢性子宮内膜炎も治療し、4AAと3BBを2個移植しましたが着床しませんでした。
先生は「自然周期で上手くいく人もいるから次回やってみよう」と提案してくださったのですが、過去全てホルモン補充周期で移植してきて内膜や血液検査の数値も良好だったので、薬なしの自力でその状態になれる自信がありません。
また移植日をすぐに設定できないのも仕事との折り合いで悩んでいます。
自然周期でもホルモン補充周期でも確率が同じであれば、提案をお断りして今回もホルモン補充周期にしてもいいものでしょうか。。。
Kobaレディースクリニック 加藤 徹 先生に聞いてみました
【医師監修】Kobaレディースクリニック 加藤 徹 先生
兵庫医科大学大学院卒業後、兵庫医科大学病院周産期センター長や医局長を歴任し、令和4年よりkobaレディースクリニック副院長として従事。令和6年6月同院長就任予定。日本生殖医学会認定生殖医療専門医、指導医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

自然周期での胚移植とホルモン補充周期での胚移植の妊娠率には、過去の報告では基本的に差はありません。ただし、その人に合ったやり方はあると考えます。ただし今回の場合はホルモン補充周期で流産ではありますが着床はしているようなので、あえて自然周期での移植にこだわる必要は無いと考えます。

また、お仕事をしながら通院されている患者さんの場合は、自然周期だと予定が合わなくなる可能性もあり、その場合は移植ができない場合もありえます。その点ホルモン補充周期だとフレキシブルな移植が可能ですので、その点からもライフスタイルに合っているのではと考えます。


慢性子宮内膜炎の治療もされているようですので、現時点での一番の問題点としては、やはり移植する胚の質だと考えます。質というのはGardner分類のような肉眼的な質では無く、胚の染色体異常があるかどうかです。これは見た目では判断がつきません。自費診療でするのであれば、着床前胚遺伝学的検査(PGT)も適応になってくると考えます。

以上を踏まえ、当院としては下記を提案します。
・移植方法に関しては今まで通りホルモン補充でも問題ない。自然周期を試してみたい場合は対応は可能だが、仕事との折り合い次第。
・自費診療にはなるが、1回の移植効率を高めるためにPGTを併用して染色体異常の無い受精卵を選択し、移植する事も視野に治療を行う。

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