早発閉経の治療と向き合い方

FSH値100超えで早発閉経の可能性を指摘されました。

相談者 : だるまひげさん(36歳)早発閉経の可能性を指摘されました。避妊せず生理もこないので数回検査薬で調べるも陰性。さすがに、4カ月生理がこないので婦人科を受診したところ、FSH100超えで生理がきていないことから早発閉経が疑われました。一般治療では難しく、体外受精でも授かれるかわからないそうです。トライせずに後悔はしたくないので治療に前向きですが、そもそも採卵までいけるか不安です。まずはホルモン治療等で数値を正常の範囲内に近づけられるのでしょうか。普段の生活のなかでできることはありますか?
英ウィメンズクリニック 山田 弘次 先生 旭川医科大学医学部卒業。2011 年より八尾市立病院産婦人科勤務。2018 年より英ウィメンズクリニック勤務。「妊活中は希望とともに試練の時もあります。それも成長の機会と捉えて、一緒に乗り越えていきましょう」

早発閉経の可能性は考えられますか?

早発閉経とは、40歳未満で卵巣性無月経になった状態です。診断基準として、日本では卵胞期早期のFSH(卵胞刺激ホルモン)が40
mlU/ml以上、E2(エストラジオール)20pg/ml以下が用いられます。FSHが高くなる理由ですが、卵胞が発育していないため、E2が分泌されず、結果として卵胞を発育させる役割のFSH値が上昇します。だるまひげさんはFSH値が100mlU/ml以上と高値のため、早発閉経の可能性は十分考えられます。

だるまひげさんにどのような検査や治療を提案されますか?

子宮や卵巣の超音波検査をはじめ、卵管の疎通性、精液検査など一通りスクリーニング検査を行います。さらに甲状腺やプロラクチンなどのホルモン値や血糖値、抗核抗体や抗DNA抗体、AMHを測定します。だるまひげさんは甲状腺がんの既往があるため、甲状腺機能の評価なども調べておくといいでしょう。
治療は主にエストロゲン補充療法になります。これによりFSH値の低下を促し、FSH受容体、また卵子の周囲を囲む顆粒膜細胞の感受性を亢進させます。環境を整えることで卵胞発育を促していくのですが、どのタイミングで発育するかわからないので、定期的に通院する必要があります。1~2週間ごとに通院して、基本は体外受精により妊娠を目指していただくことになるかと思います。
またDHEA(男性ホルモンの前駆体)などのサプリメント、運動や食生活の改善なども図ります。自己抗体が陽性であればステロイド療法を行います。それでも卵胞発育がない場合、当院ではPRP(自己多血小板血漿)療法をすすめることもあります。これは採血を行って、血小板中の成長因子(VEGFなど)を卵巣に注入する治療法です。細胞増殖や卵巣の血管新生を促すことにより、卵胞の発育や卵子の質の向上が期待できます。

最後にアドバイスをお願いします。

治療を始めてもなかなか卵胞が発育しないことも多いですが、目先の結果に一喜一憂しないでほしいです。当院でも早発閉経の診断で出産までたどり着いたのは、ずっと通い続けてくれた患者さんです。卵胞が発育するタイミングを見極めるのは難しいのですが、それを逃さず、諦めず継続して治療を行っていただきたいですね。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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