【Q&A】何からやるべきかわからない~髙木先生【医師監修】

ゆりさん(32歳)

次の生理がきたら妊活スタートと思っているのですが、何からやるべきかわかりません。子宮内膜症等があるため妊娠しづらいかなとは思っていますが、ブライダルチェックを受けたわけではないのでわかりません。自己流でタイミングをとっていくのが無難かなと思いますが、現在32歳、夫は34歳なので、のんびりしていられないなという気持ちもあります。BMI25を超えている点も心配です。病院に行かずにできることがあれば教えてください。
また、もし受診する場合ははじめから不妊治療の専門クリニックに行くのと、一般の婦人科とどちらが良いのでしょうか。

津田沼IVFクリニックの髙木先生に伺いました。

津田沼IVFクリニック 院長 髙木 亜由美 先生
千葉大学医学部附属病院、千葉メディカルセンターなどで不妊治療に従事。特に千葉大学医学部附属病院時代に、専門の生殖医療や内分泌医療のほか、不妊の患者様の腹腔鏡手術や子宮鏡手術等も数多く経験する。その後、2024年9月より津田沼IVFクリニックの院長に就任。それぞれの女性にあったきめ細かい医療を目指す。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●現在は自己流でタイミングをとっているそうですが、子宮内膜症や子宮頸部高度異形成(円錐切除済み)が妊娠しづらい原因になっている可能性はありますか?

子宮内膜症の方は妊娠しにくい傾向にあり、子宮内膜症を患う約30〜50%の女性が、不妊症であるとされています。一方で、子宮頸部高度異形成の手術後に関しては直接的な不妊の原因にはならないですが、状況によっては妊娠後に切迫流早産になるリスクがあるため慎重な管理が必要です。子宮内膜症についてですが、子宮内膜症による不妊症の原因のすべてがはっきりとはわかっておらず、さまざまです。子宮内膜症が生じる場所によって、排卵、受精、着床などと、妊娠の各段階で問題が生じることが考えられています。
子宮内膜症が進むと、卵巣や卵管、それぞれの働きが悪くなってしまいます。卵胞の発育や、卵子の取り込みがうまくいかなくなること、卵管の中を受精卵が移動しにくくなってしまうことなどが不妊症の原因として考えられます。また、子宮内膜症ではおなかの中(腹腔内)に炎症を起こし環境が悪くなることで、受精や着床の障害となってしまうことなどが考えられます。また直腸と子宮の間などに病変があり、強い性交痛がある場合には、性交自体に苦痛を感じてしまうこともあるでしょう。

子宮内膜症のためのホルモン療法は排卵を止めるため、妊娠ができません。妊娠を希望する場合は内膜症の治療を中断することになります。その場合は女性ホルモンの影響を受けて子宮内膜症が悪化する可能性があります。これはとても大事なことですが、内膜症の方が妊娠を希望してホルモン療法を中止した後は早めの妊娠が望ましいです。妊娠すれば排卵と月経は止まるので内膜症は軽快します。妊娠しない時期が長くなると内膜症が悪化し、さらに妊娠しにくくなっていきます。卵管や排卵の状況、精液検査もふくめて現状を適切に評価して効率のよい方法で妊娠をめざすことを勧めます。

●BMIと不妊の関連について教えてください。

標準体重の女性に比べて、肥満の女性は無排卵や月経異常になりやすく、不妊につながる可能性があります。肥満(BMI≥25kg/m²)の状態では、妊娠率・出生率の低下、低出生体重児・早産・流産リスクが上昇するという報告があります。

治療を受けずに自己流を続ける場合はどのように妊活を進めていけばよいでしょうか?

子宮内膜症があると必ず妊娠しないというわけではありませんが、排卵チェッカーなどでタイミングを合わせることはできると思います。しかし卵管が閉塞していたり、精液所見が悪い場合はそもそもタイミングでは妊娠は難しいので、早めに受診をして頂いて、必要に応じた治療を開始できると良いと思います。

●相談者さんのような場合では、受診する際は不妊専門クリニックと一般の婦人科とどちらがよいでしょうか?

不妊専門のクリニックをお勧めします。

●初めて受診する時期(生理前、生理後など)や初診までに準備すること、他に何かできることがあれば教えてください

初診は早めがよいので月経周期にかかわらず、こられるところで来院したほうが良いですが、可能であれば月経中に初診されるとその周期で検査や治療がスムーズです。また、健康診断をうけて、血糖や血圧など、何か病気がないことを知っておく、食生活や運動、睡眠、気分転換などを含め、心身ともに健康に管理されていることが妊活をスタートする上でとても大事です。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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