最後の採卵をする前に、精子の質を上げるべき?

桑実胚移植で流産。
採卵までに精子の質を改善したほうがいい?

相談者 : やまさん(46歳)採卵を2回しましたが、胚盤胞に至らず、初期胚×4個、桑実胚×1個できました。桑実胚移植をしたところ妊娠しましたが、8週で流産。私が高齢のためと思っていましたが、病院からいただいた資料を見返していて主人の精子の正常形態率も悪いことに気がつきました。次の採卵は、主人の精子の質を上げてからのほうがよいでしょうか。これで最後の採卵と考えていて、悩んでいます。
神谷レディースクリニック 岩見 菜々子 先生 札幌医科大学卒業。2014 年より神谷レディースクリニック勤務。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本産科婦人科学会認定専門医。日本抗加齢医学会専門医。
桑実胚を移植して妊娠するも流産したそうです。女性の年齢や精子の質が原因だと考えられますか。
岩見先生●46歳という年齢では、胚盤胞まで育っても95%は染色体異常であり、桑実胚移植の流産率は50%以上。年齢が上がると体の中で卵子が眠っていた期間が長くなるため、染色体異常の割合が高くなるのは避けられないことだと言えます。ご主人の年齢は不明ですが、男性も45歳以上は年齢要因が加味されるので、同年代ならデータ的にはよく見えてもDNAが損傷している可能性はあるでしょう。
 正常形態率が低くても顕微授精なら正常な精子が数個あればよいのですが、喫煙は精子にダメージを与え、慢性的なアルコール摂取は精子数の減少や形態などに影響するので、最低限、禁煙と節酒は心がけていただきたいですね。
精子や卵子の質を上げるためにできることはありますか?
岩見先生●精子の質の改善にはアンチエイジング効果が高いアスタキサンチンなどのサプリを最低でも採卵の1カ月前から服用することをおすすめします。精子のもとがつくられる3カ月前から服用したほうがより効果的なのですが、精子の状態が良くなるまで待つ間に卵子の加齢が進みます。採卵数や胚盤胞に与える影響はさらに大きくなるので、女性もアスタキサンチンやコエンザイムQ10などのサプリ服用で少しでも卵子の質の低下を遅らせながら、なるべく早いタイミングでの採卵を目指していただきたいですね。また、漢方の桂けいしぶくりょうがん枝茯苓丸は子宮収縮作用があって流産に働いてしまう可能性があるので、移植周期と採卵周期で漢方の種類を変えることをおすすめします。
次を最後の採卵にするそうです。アドバイスをお願いします。
岩見先生●妊娠率という点からは胚盤胞まで育てたいところですが、胚盤胞到達率は卵子の年齢が進むと低くなってしまいます。次回を最後の採卵と考えている場合には、移植まで一連の治療として希望されるのであれば、初期胚や桑実胚での凍結も考慮して良いと思います。過去に桑実胚での妊娠経験をお持ちのため、受精卵の数に応じて凍結ステージのご希望を担当の先生と相談してみてはいかがでしょうか。

 

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