【Q&A】移植までにできる検査は?~浅田先生【医師監修】

まつひろさん (40歳)
死産後、子宮筋腫を取る手術を行い、半年経過したので体外受精を再開しました。
先月の移植は陰性、今月また移植予定です。
貯卵が5個(A、C、D、D、E)あります。
何か移植までに出来る検査などはありますでしょうか。
主治医は「着床出来ているので必要ないのでは」との事でした。
保険終了してしまったらPGT-Aを検討しています。

浅田先生に聞いてきました

【医師監修】浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

現在、貯卵が5個あり、グレードがA、C、D、D、Eということですが、世界的に胚盤胞であればガードナー分類が適用されることが多いため、このグレードは通院されているクリニック独自のものだと思いますので、どのような卵なのかが分かりません。

着床をよくする検査は、世界的に色々発表されていますが、いまだ有効性のある検査は無いといっていいと思います。欧州生殖医学会が、そういった負荷的検査についてのガイダンスを発表しようとしていますが「殆ど有効な検査はない」というのが真実です。特にERA検査(子宮内膜受容態検査)については「むしろこの検査をすることにより余計に成績が悪くなる」というエビデンスが世界的に発表され、世界ではすでにこの検査は行われていません。しかし、日本では宣伝効果が強く、現在でも検査が行われていることに心を痛めています。2段階移植やSEET法といった治療方法も、先進医療には入っていますがこれらの治療法はずいぶん昔に“効果がない”と言われた治療法です。しかし、未だにこの治療法を行っている人がいるため保険適用にはならず、先進医療となっています。先進医療といっても少しも先進ではなく、保険適用不適合治療の暫定保留のため先進医療のカテゴリーに入れただけのものです。

保険での治療が終了したらPGT-Aを検討されているようですが、PGT-A検査をして正常胚を移植した場合の妊娠率については、症例により異なるため一概には言えませんが、正倍数性の受精卵を移植した場合でいえば、通常の移植よりも妊娠率はかなり上がります。個人差はありますが、40歳でいうと10個の受精卵のPGT-A検査をした場合、6~7個は染色体異常が見つかり、採れた卵に対して移植できる胚は、かなり少なくなります。しかし、着床のための検査や治療法に時間とお金を使うより、PGT-A検査をした方が有効だと思います。

子宮頸管無力症により死産ということですが、21週等の早い時期での死産の場合、多くは染色体異常が原因だと言われていますので、その時に染色体検査がされているのかが気になります。AMHが0.1ng/ml と非常に低いため、多くの胚盤胞をつくることが難しいと思います。そういったことを理解して治療に臨んでいただき、PGT-A検査を希望されるならきちんと検査ができるクリニックへ転院していただきたいと思います。

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