貯卵を2個移植か、 破棄して採卵するか悩んでいます

卵管水腫ができているか気になっているようですが、卵管水腫が着床の妨げになることはありますか。
奥先生●卵管水腫が着床障害の原因になる可能性は十分にあります。不妊治療を進めるうえで最初から切除したほうがいいと言われているのは、超音波検査で両側に卵管水腫が認められ、水腫内容物の子宮内への逆流が認められるケースです。片側の水腫や超音波検査では明らかにならず、卵管造影検査を実施して初めて卵管水腫だと診断できるような大きさのものであれば、最初から切除するかどうかは医師によって意見が分かれると思います。
さーさんは胚盤胞移植を2回実施して結果が出なかったということですから、次の胚移植前に水腫切除を選択肢の一つとして検討してもよいでしょう。ただし、手術をすると卵管から卵巣へと向かう血流が低下し、術後の採卵では一般的に「採卵数が減る」と言われているのも事実です。ですから、水腫を切除するか否か、メリットとデメリットをよく理解したうえで決めていただければと思います。
2個移植するか、破棄して採卵するか悩んでいるそうです。先生でしたらどちらの方法を提案されますか。
奥先生●受精卵が残っている場合、保険診療では原則としてすべて移植しなければならないので、採卵を希望するのであれば残っている受精卵を破棄する必要があります。そこは主治医の先生と相談されてください。
また、移植する場合は2個移植を予定されているようですが、1個あたりの着床率が2個移植では下がってしまうため、基本的に私は胚盤胞の2個移植はおすすめしていません。多胎率も1個に比べて3割ほど高くなりますし、2つ残っているなら1個ずつ戻したほうが高い着床率を得られると思います。特に卵管水腫切除後の胚移植なら子宮の着床環境が改善されている可能性もありますので、1個胚移植をおすすめします。
次の採卵や移植前に受けておいたほうがよい検査はありますか。
奥先生●子宮鏡検査で子宮内にポリープや癒着など不妊の原因になる要素がないかを確認したり、実施していなければ、SEET法を実施したり、採血で着床障害の検査をするという選択肢もあります。また、採卵する場合は自費診療にはなりますがPGT ‒A(着床前胚染色体異数性検査)をして染色体異常のない正常な胚のみを移植するという方法も検討されてはいかがでしょうか。