【Q&A】ERA、フローラ、子宮内膜検査は必要でしょうか~船曳先生【医師監修】

ゆかりさん(35歳)

今後の検査の必要に関してERA、フローラ、子宮内膜検査は必要ですか?
子宮内膜を傷つけることに主人は抵抗があります。保険の移植があと2回です。どうすれば染色体異常を減らすことができますか?
わたしは食生活を気をつけても、反動で暴食することがあり、ケーキやスナック菓子、パンを食べすぎることがあります。それらの食生活の乱れも影響ありますか?
便秘もあるので、私は体を整えてから採卵のほうが良いのか、どんどん採卵したほうが良いのかわかりません。妊娠したことはあるので、妊娠はできる体であるのだと思ってはいます。

オーク銀座レディースクリニックの船曳先生にお話を伺いました

【医師監修】オーク銀座レディースクリニック 船曳美也子 先生
日本生殖医学会生殖医療専門医・指導医。日本産科婦人科学会専門医。母体保護法指定医。神戸大学文学部心理学科、兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学、西宮中央市民病院、パルモア病院勤務を経て医療法人オーク会へ。エジンバラ大学で未成熟卵の培養法などを学んだ技術と自らの不妊体験を生かし、患者さんのライフスタイルなどに合った診療を行う。また、早くから不妊と肥満の関係性に着目し、2ヶ月で14kgの減量に成功した患者様の排卵障害が改善したことから、ダイエット・プログラムを発案。国内外の学会発表多数あり。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

AMHと男性因子があるにもかかわらず、形態良好胚盤胞ができているのは良い兆しだと思います。ただ、形態良好胚にも染色体異常は多く認められますし、数が正常と調べた胚でも妊娠は確実ではないので、移植して結果を待つしかないのが現状です。そして、妊娠継続に至らない主な原因は胚、と考えられますが一部に着床が原因のこともあります。

反復不着床の場合、または数的正常胚を移植しても着床しない場合、着床の検査として子宮の着床の時期(ERA)、子宮の内膜の環境(フローラ:EMMA、ALICE+CD138)が提案されることがあり、ERA、EMMA、ALICEは先進医療として認められています。

子宮の内膜は月経のときにはがれて毎月再生される機能層、機能層の細胞をつくり再生されない基底層という2層にわかれています。ERA、EMMA、ALICEで採取するのは、月経ではがれる予定の内膜のほんの一部で、子宮そのものを傷つけるものではありません。CD138検査については、施設により時期や手法が異なります。こちらも内膜の採取自体は、子宮内膜擦過術として先進医療で認められますが、CD138の免疫細胞は含まれません。当院では反復着床不全の方には良好胚を作成したうえで、子宮内膜擦過術と子宮鏡を組み合わせたIFCEという治療で、次回および次々回の移植の着床率は上昇したというデータを持っており提案しています。

ただ、なにより大事なのは胚です。採卵数のうち良好胚ができるのも一定の確率なので、分母の総数を増やすことが一つです。また、分子の良好胚を増やすためのエビデンスがあるデータとしては、禁煙と適切な体重です。それはどちらも問題ないので、他にできることとしては、男女とも睡眠・ストレス解消といったことが挙げられます。栄養としては、女性のビタミンDは十分量あるようですので、その他着床によいのは、ラクトバチルスという膣内の常在菌を増やすことです。また、子宮と腸内環境も相関すると考えられています。膣内を改善する薬はないのですが、腸内環境を整えるサプリメントや食事を提案します。また、男性の運動率改善には亜鉛が有効という報告もあります。

あとは回数ですね。保険の移植回数には制限があるのが残念ですが、あきらめずに頑張っていただけたらきっと結果がでるのではないかと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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