今38歳で夫は45歳。
高齢出産のリスクについて教えてください
高齢出産にはどのようなリスクがありますか?
臼井先生●一般的に35歳を超えてからの出産を高齢出産といいます。今は不妊治療をする方の年齢が上がってきていますので、この方の年齢がすごく高いという印象はありませんが、やはり35歳を過ぎると流産のリスクは上がってきます。加齢により卵子が老化することで受精卵の染色体異常の確率が高まり、それが流産のリスクにつながってくるのですね。
妊娠後や出産に関しては、高齢の場合、妊娠中の合併症が心配です。糖尿病や高血圧などを起こすことがあるので、もともとこのような疾患がある方は特に注意が必要でしょう。また高齢だと陣痛力が弱くなってくるので、分娩の際、帝王切開になるケースもあります。
男性も高齢だと、妊娠や胎児への影響は高まるのでしょうか。
臼井先生●女性は一生分の卵子を蓄えて生まれてきますが、男性の精子は毎日新鮮なものが自分の体の中でつくられています。そう考えると、女性と比べて男性の高齢に関するリスクは少ないといえるのではないでしょうか。
とはいえ、やはり精子も老化します。精子のDNAなどの損傷により流産率が上がったり、生まれてきたお子さんの小児がんや精神疾患のリスクも少し上昇するという報告も。男性も高齢になると妊娠する力が下がってくることは確かだと思います。
体外受精なら胎児の遺伝的疾患のリスクを減らせますか。
臼井先生●一般的な技術では、遺伝的なリスクを減らす方法は難しいです。体外受精をしても難しいと思いますが、PGT ‒Aなど着床前診断を受けて染色体異常のない受精卵を選別して移植することで、流産のリスクを軽減することはできると思います。妊娠の維持、胎児への影響、安全な出産などを考えたら、治療というより1日でも早く妊娠されることが一番だと思いますね。
38歳だったら体外受精から治療を始めたほうがいいのでしょうか。
臼井先生●一般的には、年齢の高い方でもタイミング療法や人工授精など、体への負担が少ない一般不妊治療からスタートすることをご提案していくと思います。始める前に治療計画書を作成するので、希望される方は最初から体外受精を選択されても構いません。各治療の妊娠率や今のお体の状態などをご説明。ご夫婦の考えも伺って、その方に適切な治療プランを立てていきます。