【Q&A】内膜の厚さがギリギリだと妊娠しないのでしょうか?~前沢 忠志先生【医師監修】

ゆいさん(35歳)
内膜の厚さがギリギリだと妊娠しないのでしょうか?
何が問題なのか、先生にもゆっくり聞くことが出来ないため、内容の解説をして頂ければ幸いです。

【医師監修】三重大学医学部附属病院 高度生殖医療センター 前沢 忠志 先生 日本産科婦人科学会専門医、指導医。日本生殖医学会専門医、指導医。母体保護法指定医。2005 年浜松医科大学を卒業後、初期研修を経て三重大学産科婦人科の医局に入局。済生会松阪総合病院、紀南病院などを経て、2012 年よりIVF なんばクリニック、IVF 大阪クリニックで不妊治療を学び、2016 年より三重大学医学部附属病院勤務。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
「胚のTE(胎盤になる部分)がすこしペランとしていたのが気になります。ムクムクしていないと着床率が下がります。 ただし、融解後の拡張は良好でした。」
着床には、TE(栄養外胚葉)の細胞の量は重要です。そういう意味では、胚のグレードがそこまで高くなかったのではないかと推察されます。
「前回に比べ内膜がぎりぎりの厚さで、黄体ホルモン投与時にP4が2.03とわずかに上がっていました。
P4が2.03の上昇は大きく、1を超えていれば既に排卵後と判断します。この場合、どの段階で排卵したのか判断が難しいので、胚移植については、今回は中止とする施設もあると思います。しかし、それまでの診察で排卵の時期がわかっていてのP4の値であれば、胚移植を決定したのは間違っているわけではありません。
逆に、排卵が起こっているにもかかわらず内膜が薄いのであれば、ホルモン補充周期で内膜が厚くなるまで待機した後に黄体ホルモンを開始する方がよいかと思います。
「前回HCGが出ていたので黄体ホルモン補充後120時間としていました。しかし今回は、黄体ホルモン補充前にPがわずかに上がっていたので、胚が着床しない方向にずれてしまった可能性があります。」
黄体ホルモンが上がっている以上、明らかに前回の妊娠時とは状況が異なっています。今回妊娠しなかった原因はこれの可能性は高いと考えます。
「TruClear手術の影響から立ち直っていなかった可能性もあります。」
TruClearはポリープを狙って切除するため、他の部分の子宮内膜に影響を与えにくい方法になります。そのため、通常の手技で行ったのであれば可能性は低いと考えます。通常、ポリープ切除後は月経を待ってから胚移植を行うため、月経を1回挟んでいれば、問題ないはずです。
「まだ良好胚が3個ありますが、次回は内膜の炎症を確認しつつ、自然周期かエストラーナテープを使ったホルモン補充周期をお勧めします。」
内膜の炎症を確認するためには、内膜生検で組織をとって慢性子宮内膜炎の所見を確認するか、もしくは子宮内フローラの検査を行う必要があります。炎症を確認しつつ移植が出来るわけではないので、主治医の先生と相談して、事前に検査をするか相談すべきと考えます。
 1度妊娠されているということで、これまでの経過からすると、排卵周期?(妊娠した時の胚移植方法)で胚移植を行うのが良いと思います。その時も、黄体ホルモンが1以下と上昇していないことをきちんと確認した上で、排卵させての日程決めが必要と考えます(P4が1を超えていた場合はキャンセルすることをお勧めします)。
過去に妊娠された方法が、あなたにとって最善の方法であるはずなので、同じ条件で行うことをお勧めします。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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