【Q&A】hCG注射は体温を上げる効果がありますか?~藤本先生【医師監修】

ゆっきりん☆さん(44歳)

毎月生理5~6日に受診し、卵巣の腫れや卵胞チェック。そこから1日おきくらいにhMG(150単位)を注射し、卵胞を育てています。
頃合いをみてhCG(10,000単位)注射をして排卵を促し、排卵確認できたら黄体ホルモン補充のためまたhCG(10,000単位)注射を注射し
ています。
一度のhCG注射では排卵しないこともあるため、2度打って排卵促すこともあります。排卵促進も含めると、3~4回打つ形になります。
hCG注射についてですが、この注射は体温を上げる効果があるのでしょうか?
また、高温期を維持する作用もあるのでしょうか?

藤本先生に聞いてきました

【医師監修】さっぽろARTクリニックn24 藤本 尚先生
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ゆっきりん☆さん、こんにちは。
さっぽろARTクリニックn24の藤本といいます。
早速ですがHCGについて話をしたいと思います。

HCGは本来は妊娠した際に出てくるホルモンです。
そのため、妊娠検査薬などもHCGが出ているかを尿で調べる検査となります。
そしてHCGにはほかのホルモンと似た形をしているため、いくつかのほかの効果もあります。
一つは【排卵を促す効果】です。
これはHCGがLHというホルモンと類似した構造を持つため本来体の中で自然に卵が発育して排卵する際には体の中でLHが上昇することで排卵を促すことになるのですが、LHの代わりにHCGを注射することでLHと同様の効果を狙うために使用する場合があります。

そしても一つの効果は【黄体賦活効果】です。
黄体賦活とは黄体を元気にする!というような意味になります。
卵子が排卵した後に、卵子の殻が黄体に変化してそこから黄体ホルモン(プロゲステロン)が出て妊娠の手助けをするのですが、自然排卵の場合に黄体ホルモンが十分に出ない方がいます。
そのような場合には黄体ホルモンを薬として内服したり、HCGを注射することで自分の黄体からより多くの黄体ホルモンが出るのを促すことを目的にHCGを使用する場合があります。
主治医の先生により使用方法は様々ですが、僕自身はタイミング指導や人工授精を行う際に、排卵の時期に1回だけHCGを使用します。

これは【排卵を促す効果】と【黄体賦活効果】の二つの効果を期待して使用します。

排卵確認後には僕は使用しません。
排卵後にHCGを使うということは【黄体賦活効果】のみを期待して使用するわけですが、代わりに内服のプロゲステロン製剤を内服することでかわりになるためです。

もう一つは排卵後にHCGを使用すると、妊娠したかの察知が困難になるためです。HCGは本来妊娠した際に出るホルモンで妊娠検査薬もHCGの有無を調べる検査になります。
注射のHCGは体から完全に消失するのに約2週間前後かかるため、生理が遅れた場合に妊娠したことによってHCGが体にあるのか?
それとも注射したHCGが残っているのかがわからなくなるからです。
ちなみに体温が上がるというのはHCG自体が上げているというよりは、HCGの効果で黄体ホルモンがきちんと出ることで上がるということはあります。
また自前の黄体を賦活化することで自分の黄体を維持する効果としても働きます。
また一度のHCGで排卵しないということは基本的にはありません。
排卵がうまくいかずに残ってしまう(黄体化非破裂卵胞:LUF)という状況なのかもしれません。

排卵誘発法については、年齢やAMHなどの状況で変わるためコメントはできない状況です。
ただ現在のタイミング治療という状況であれば、できればHMGは使わずに内服剤で排卵誘発を行いたいと考えます。

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