【Q&A】フローラ検査について~林先生【医師監修】

てけ子さん(38歳)

フローラ検査をしました。

今後4AAの凍結胞を移植予定で、もう卵を無駄にしたくありません。
今後、ERpeak検査をしてからフローラ検査の治療として抗生剤とサプリメントを飲んで、その後移植をする予定です。

1)移植の前に再度フローラ検査して悪玉菌が減ってラクトバチルスが増えた事を確認してから移植した方が良いでしょうか? それとも、一定期間抗生剤とサプリメントを服用したら再検査せずにそのまま移植をした方が良いでしょうか?
2)再検査した方が良い場合、どのような薬とサプリメントをどのぐらいの期間服用してから再検査したら良いでしょうか?
3)再検査しないで移植をする場合も、どのような薬とサプリメントを、どのぐらいの期間服用すれば悪玉菌が減ってラクトバチルスが90%以上に増えるのでしょうか? それとも飲み続けても一定数値以上は増えなくなるのでしょうか?
4)抗生剤を飲んで悪玉菌を減らしたら、もう悪玉菌が増える事はないのでしょうか? 抗生剤を飲み終わって一定期間過ぎたらまた増えてしまうのでしょうか?
5)フローラの治療は抗生剤が移植に悪い影響を与えると聞きました。抗生剤を服用後、どのぐらいの期間を開ければ移植に影響しないのでしょうか?
6)ERpeak検査をして、フローラの治療をして、その後移植をする予定です。
フローラ検査は治療が長引いて移植まで時間が経過してしまっても、ERpeak検査の結果はいつまでも変わらないのでしょうか? 時間が経過してしまうとERpeak検査の結果も変わってきてしまうのでしょうか?
7)フローラ検査の結果、ラクトバチルス0.1%の人と70%の人では、治療で服用する薬の量や服用する期間は違うのでしょうか?
どうかご回答お願いします。

林先生に聞いてきました。

【医師監修】ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生
1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
ERPeak検査をおこなって、フローラ検査をして、その後移植をする予定ですとのことですが、フローラ検査の結果によって除菌やラクトバシルスサプリメントを行った場合、ERPeakの結果が変わってしまう可能性があります。
強いエビデンスではありませんが、子宮内細菌叢の治療によって胚を受け入れる子宮内膜のウィンドウがずれるという、同系統の検査であるERA検査での日本からの研究報告があります

その研究結果に従えば、フローラ検査をおこなって、必要ならば除菌をして、プロバイオティクス治療をおこないつつ、ERPeak検査を実施するというのもありかと思います。

ラクトバシルスの占める割合によってプロバイオティクス(ラクトバシルス)の量や期間を変える必要があるかということのエビデンスはありません。

普段からラクトフェリンを摂取されているようですが、ラクトバシルス菌がほとんど検出できない状況ではあまり意味はないので、ラクトバシルス菌をサプリメントしつつ、これまで通り連日摂取を続けていくのであればよいと思います。
私はフローラ検査を再検する必要はないと思いますが、気になるようでしたら前回検査から半年経過した場合には再検してみてもよいと思います。
必ずしも90%以上ラクトバシルス菌がいないと着床しないということでは決してありません。そこは注意をする必要があります。
不妊症でもなんでもない子沢山の女性を検査してみるとラクトバシルス菌がほとんど検出されないことだってあります。

また内膜組織を検査で採取する際に、どうしても子宮頸管内の分泌物による汚染(コンタミ)を伴いますので、こういっては元も子もないのですが検査自体に信頼性が今一つないという考えの医師もかなりおります。

不成功が続いて、今回の良好(4AA)胚を無駄にしたくないというお気持ち、お察しいたします。まず、着床不全をおこす代表的な疾患である卵管水腫や

子宮内膜ポリープを除外診断できているという前提で、着床するか否か、継続妊娠となるか否かのほとんどは、実は胚側の因子が大きな鍵を握っています。
具体的には胚の染色体の問題です。37〜38歳女性ですと、胚盤胞あたりの染色体異数性と正倍数性の比率はほぼ1:1です。
異数性があると着床しないか化学妊娠ないしは流産に至ることが殆ど。
どんな対策をとっても成功することはありません(一部の染色体異常のお子さんの出生を除いて)。
従って、これまで不運にも異数性胚ばかり移植してきていたという可能性も否定できません。
正倍数性胚を1個移植当たり高くても生産率は65%と、すべてが成功するわけではありません。
フランスからの報告で正倍数性胚を3回まで連続移植すると95%には妊娠が、92%には生児獲得が得られ、着床不全というのは全体外受精患者の方々のせいぜい5%未満であるということです。
日本のみならず海外でも着床障害検査に重きを置きすぎている傾向があると指摘されています。
みかけが良好な胚盤胞(4AA)であるから、移植して不成功であったら必ず何か子宮側にある何か対策が必要だと決めつけてしまうと本質を見失うことにもなりかねませんので、そこは慎重に。主治医とよくお話しつつ治療を進めてください。
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