【Q&A】移植方法に関して~高橋敬一先生【医師監修】

ひまわりさん(43歳)

本日1個採卵できました。今回が保険治療最後の機会となるので、なんとか成功したいと思っています。
初回移植(6月)に初期胚で移植した際には、着床後化学流産となってしまい、今後の治療について不妊治療経験者や鍼灸院䛾先生に話した際に「次は新鮮胚移植ではなく、成功確率の良い凍結胚盤胞が良い」とアドバイスもらいました。
しかし医師からは、「胚盤胞の方が確率が高くなるのは、悪い卵はドロップアウトし良いものだけが残っている状態なので成功率が高くなる。前回、着床できているので、新鮮胚でも良いだろう。環境としては培養よりも子宮内の方が良い。 ただ、良い卵だけを選りすぐって移植したいなら胚盤胞の手段もあり」との話をいただきました。
私はできれば凍結までさせたいと思っているのですが、どの方法が成功確率をあげるのか、最善方法を判断する知識がないため、第三者としてご意見いただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

高橋敬一先生にお伺いしました。

【医師監修】高橋ウイメンズクリニック 高橋 敬一 先生
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
今回が最後の胚移植のようで、様々お考えになっているのですね。
前回妊娠反応がでているので、今回も初期胚移植でおこなう事は医学的にはおかしな事ではありません。
一方、保険の回数があと1回なので、その視点が入ってくると、医学的な理由ではなく保険利用の理由が絡んでくるので、医学的な理屈とは異なる判断がされることがあります。
年齢や胚の質が関係するので、初期胚と凍結胚盤胞の妊娠率の比較は難しいですが、年齢的には、胚盤胞で20~30%程度、初期胚で5~10%程度の妊娠率の程度です。
ただし、胚盤胞になるのは、受精卵3~5個に1個程度なので、1個の受精卵では、平均4回中3回はキャンセルになります。
したがって、保険を考えないならば、初期胚移植を繰り返しても良いと思いますよ。
一方、あと1回の保険での胚移植の妊娠率の上昇を考えるならば、「4回のうち移植できるのは1回程度」を受け入れて、胚盤胞になるまで採卵を繰り返す、という選択肢はあり得ます。
培養液は理想とは言えません。
胚盤胞培養の方が環境が良いとは一概には言えないのです。
一方、重症の卵管水腫や慢性子宮内膜炎などがあれば、培養の方が環境が良い可能性があります。
①保険のことを重視するならば、凍結胚凍結ができるまで採卵する。
②年齢が少しでも若いことを優先するならば、新鮮初期胚移植という考えになると思います。
前回妊娠反応が出ているようなので、頑張ってみて下さいね。
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