卵管形成術の治療後は、タイミング法と併用で人工授精を行うべき?
Jさんの相談内容について、印象を聞かせてください。
内田先生● 相談者のJさんは、よく勉強している印象をもちましたし、施設の先生は、基本に従って進んでいると思います。説明もしっかりしていて、方針に大きな違いは感じません。ご夫妻は、人工授精は、まだその段階ではないと思っていたのでしょうね。
卵管鏡下卵管形成術が、どのような治療なのか教えてください。
内田先生●卵管鏡という細い管を子宮から卵管内に入れて、卵管の詰まっている部分を通るようにするのが卵管鏡下卵管形成術です。卵管が通ってない場合はそのまま体外受精を選択することが多いのですが、この形成術で卵管の通過性が回復すれば、卵管を使って妊娠を目指すことができるようになります。ただし、開通している期間は半年が目安とされています。
施設の先生の「もったいない」という言葉は、どういう意味でしょうか。
内田先生●開通している間をチャンスととらえて妊娠の可能性の高い治療を選択しましょうという提案だと思います。今が一番妊娠しやすい、だけど再閉塞のリスクもある。だから「もったいない、早くやろうね」、なのです。
内田先生でしたら、どのような治療を提案されますか。
内田先生●半年間、100 % 自然の排卵で妊娠を目指すことはしないでしょう。タイミング法には、自然排卵の周期も排卵誘発剤を使用した周期もあります。排卵誘発剤には内服薬と注射剤があります。ただし排卵の条件が良くないとタイミング法でも人工授精でも妊娠しないので、人工授精を組み込む場合には排卵誘発剤を使って排卵の条件を整え、人工授精を加えましょうと提案すると思います。
性交渉が可能なご夫妻なら、排卵時に3~4回セックスする中の1回に人工授精を加えると考えればいいと思います。当院では、人工授精の前後にもセックスをしましょうね、という伝え方をしています。
今後のアドバイスをお願いします。
内田先生●ご夫妻で納得できるまで話を聞いて、納得できなければ最初の1~2カ月はタイミング法でもいいと思います。「人工授精もやります。でも、待ってください」という言い方で先生に伝えたらいいのかな。納得をしてスタートをすることが大切で、そこから人工授精へとステップを踏めるようになっていけたらいいですね。