【Q&A】最後の胚移植について~山下先生

あいさん(39歳)

自然周期による胚移植での薬についてです。私は薬による副作用が出やすい体質で、昔一度だけホルモン補充周期での移植に挑戦しましたが、移植前に薬の副作用が辛すぎて治療を途中で断念しました。
使えない薬は、エストラーナテープ(貼った初日に数時間で肌が真っ赤に腫れ、酷い痒みも)、ディビゲル、セキソビット、ルトラール等で症状は、テープ以外全て吐き気です。膣座薬も気持ち悪さや倦怠感等でますが、何とかかんとか、膣座薬のみで一度だけ妊娠した事があります。11週で稽留流産でした。病院で打ってもらう筋肉注射も吐き気は出ますが、何とか耐えられます。注射を毎日打ってもらうという方法もあるのでしょうか。
今回も、自然周期を希望ですが、昨年の11月の胚移植が陰性だった際に、「次は泣きながらホルモン剤を使うか、採卵だね」と言われました。治療歴も長く、約2年前に一度流産の経験もあり、心身共に疲れ果てていた為しばらくお休みし、威圧感のある言葉を吐く主治医の元ではもう頑張れないと思い、転院も考えました。転院予定のクリニックで、今更ながら子宮鏡・卵管造影検査を受けました。子宮鏡は問題なし。卵管が左側が閉塞していました。
転院予定だったクリニックは、凍結精子と凍結受精卵の移送費があまりにも高額だった事、また自分たちで精子と受精卵を運び(転倒等何かあった場合の負担は病院側は負わない)培養士さんとのやり取りも全て自分達で(精子の採取手術をした大学病院の看護師さんが、患者さんがこんな事しないといけないのかと驚かれていました)との事で、転院は断念しました。
間もなく来そうな月経が始まったら、スムーズに移植周期に入れるか分かりませんが、まずは受診予定です。先生でしたら、私のような場合どのような薬をどのぐらい使われますか?副作用に耐えられるか分かりませんが、今回の移植で最後にしようと思っています。貴重なグレードの良い(4AA)たった一つしかない受精卵なので、出来る限りの事はしたいです。ご意見を参考にさせて頂きたいです。主治医には相談や質問がしにくいので、こちらを初めて利用させて頂きました。よろしくお願い致します。

山下先生にお聞きしました。

山下レディースクリニック山下正紀先生

1980年、奈良県立医科大学を卒業後、京都大学産婦人科に入局。舞鶴市民病院産婦人科の医長として同院の生殖医療を確立後、神戸中央市民病院で産婦人科医長、体外受精チーフとして数多くの患者さんの治療にあたる。1997年、神戸三宮に山下レディースクリニックを開設。一般不妊治療から高度生殖医療にわたる初診から妊娠成立までを一人で担当し、妊娠したカップルは10000組を超える。キッズルームを併設し、2人目不妊にも対応している。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

凍結胚を移植する方法としては現在ホルモン補充によるやり方が多く用いられていると思いますが、妊娠率は排卵周期とホルモン補充周期では変わりません。

ホルモン補充周期はご存知のように妊娠が成立してからも長期間ホルモン剤使用が必要になります。

あいさんの場合にはホルモン剤が体に合わなくて耐えにくいほどの苦痛を伴うということですので、排卵周期移植を選ばれるのがいいと思います。
排卵周期による移植では、私はフェマーラ等により排卵を整え、移植後も一週間程度の黄体補充をおこなっております。

ただし全くの自然周期でもきちっと排卵が起こり、黄体機能も保たれている方であれば薬剤の使用は必ずしも必要ではありません。
凍結されている胚は残り一個ということですのでくれぐれも慎重に行きたいですね。

威圧的と感じられてもやはり主治医とのコミニュケーションはとても大事です。よく相談をされ十分に納得された上に治療をお進めください。

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