凍期胚と胚盤胞の違い

胚盤胞まで育たないと妊娠成立には至らないのでしょうか?

相談者 : リス好きさん(39歳)採卵すると「胚盤胞を目指そう。でも、全滅したら困るから一番良い初期胚を凍結して、残りは胚盤胞を目指そう」というのが私の初回採卵の方針でした。脱落する受精卵(初期胚の時点では分割が良くても胚盤胞にはなれない)というものは、そもそも妊娠成立できないのでしょうか。それとも、子宮内ではない環境での培養だから初期胚から胚盤胞にいけなかったのか? 結局、胚盤胞まで育たなければ、子宮内に戻したところで妊娠成立には至らないのでしょうか。
明大前アートクリニック 北村 誠司 先生 1987 年、慶應義塾大学医学部卒業。1990 年、同大学産婦人科IVF チームに入る。1993 年、荻窪病院に入職。2008 年、虹クリニック、院長として就任。2018 年2月、明大前アートクリニック開設。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会・生殖医療専門医。日本産科婦人科内視鏡学会評議員。
「一番良い初期胚を凍結して、残りは胚盤胞を目指す」という方針についてどう思われますか?
北村先生●不妊治療においては標準的な考え方なのではないでしょうか。当院でも、初めて採卵する方は初期胚を凍結して確保。残りは培養して、なるべく胚盤胞までもっていくようにしています。初期胚のほうが胚盤胞より培養時間が短いため、胚へのストレスが小さくて済むことから、最初は初期胚を目指します。
 妊娠の可能性を考えたらベストは胚盤胞での移植だと思います。7細胞以上の良好な初期胚を移植した場合の妊娠・着床率は約30%程度。その4分の1くらいは流産すると考えたら、無事出産するのは22%程度になります。
 一方、良好な胚盤胞を移植した場合の妊娠・着床率は30~50%、出産する確率は22~38%といわれています。数字でみてもやはり胚盤胞で戻したほうが出産までいく確率が高いのです。
子宮内ではない環境での培養が胚の成長に影響を与えることはありますか。
北村先生●確かに「培養しても胚盤胞までうまく成長しない場合、本来育つべき体内の環境のほうがいいので子宮の中へ早めに戻してあげよう」という考え方を学会などで聞くことがあります。一理あると思いますが、体外受精は歴史があり、現在は培養環境も高いレベルで確立されています。僕の意見としては、体内で育つのと大きな差はないと思います。
リス好きさんは現在39歳ですが、今後、どのような治療方針を立てていけばいいのでしょうか。
北村先生●この方は次の移植は初期胚で戻す予定なのでしょうか。それで結果が出なかったら、当院の場合、2回目は胚盤胞での移植を目指すと思います。初期胚を移植しても妊娠する方はいらっしゃいますが、やはり胚盤胞のほうが妊娠・出産率は高いですから。年齢が高い方でも基本的には胚盤胞を目指すことをご提案すると思います。
 培養してもほとんどの胚が胚盤胞まで到達しなければ、いつまでも移植できないという状態になってしまいますから、その場合は初期胚移植も選択肢になってくるでしょう。
「良い初期胚なら積極的に移植する」「胚盤胞しか移植しない」など、これらの考え方は施設や医師の考え方により異なると思いますが、今の不妊治療では胚盤胞を目指すのが標準となっています。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。