流産後、しばらく治療を休んで今、再び頑張ることに!
流産の手術後、夫は声を出して泣いた。
後悔のないように治療を続けます。
2020年、夫の高度乏精子症が発覚し、21年1月から本格的に不妊治療を開始したハルカさん。
その年の11月に流産し、しばらく治療を休んでいましたが、今年5月から治療を再開。この2年間のことと、今の胸中を伺いました。
男性不妊が発覚し、突然始まった不妊治療
ハルカさん(31歳)がアツシさん(37歳)と結婚したのは2019年6月。「結婚したら、ダンナさんと一緒に子育てして」という暮らしを夢に描いていたハルカさん。自然に妊娠できると思っていたので特にタイミングも意識していませんでした。
「ただ、結婚した年にちょっと出血があったので婦人科へ行ったところ、子宮頸部異形成が見つかって。といっても問題はなく経過観察になりました」
翌年の20年、その子宮頸部異形成の定期検査のため、病院へ行った時のこと。何気なく「子どもができないんです」と医師に話したところ「一度ご主人も検査してみますか」と。検査の結果、無精子症に近い状態と診断されました。
「主人は自分に原因があるのかもしれないと思うこともあったようですが、ここまでひどいとは思っていなかったので、相当ショックを受けていました」
詳しく診てもらうため、紹介状をもらって大学病院へ。そこで高度乏精子症と診断されました。「全くゼロでないとわかりホッとしました。でも奇跡でも起こらない限り、自然妊娠は無理と言われ、顕微授精を勧められて。右も左もわからないまま、高度生殖医療に足を踏み入れました」
アツシさんの治療は特に何もしなかったと言います。
「いろいろ検査しても原因はわからなかったので。結局、先生に勧められたコエンザイムと、ネットで無精子症に効果があると書かれていたトマトジュースを毎日飲むようにしました」
治療は妊娠への第一歩と最初は浮かれていたけれど
本格的に不妊治療を開始したのは21年1月から。最初は妊娠に一歩近づいた気がしてワクワクしながら通院していたハルカさん。しかし、通院回数が増えるにつれて疲労感が募っていきます。
3月に入り、採卵のため、アンタゴニスト法で注射を開始。しかし、採卵を行った3日後、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)で入院することになります。
「もともと多嚢胞性卵巣症候群の傾向があったので、先生も慎重に注射を打ってくれていたのですが、異常に多くの卵が採れてしまって。私の症状として注射を打ち始めた頃から吐き気があったのですが、3日目に緑色の液体を吐いてしまったんです。さすがに身の危険を感じて夜間救急へ行き、そのまま入院したんです」
それでも点滴治療で5日目には退院できたそう。OHSSで苦しんだものの、採卵できた卵28個のうち、6個を凍結したので一周期の休みをはさんで5月にホルモン補充周期で移植しました。結果は陰性でした。
「凍結胚のグレードは4BCでそんなに良くなかったので、期待はしていなかったものの、やはり先生の口から陰性と告げられた時はショックでした」
3度目の正直で陽性!でも、7週目で稽留流産に
2回目の移植は同じ年の7月に。アプローチを変えて今度は自然周期で移植。結果はまたもや陰性でした。
「移植した時から出血していたので着床は無理だなと。しかもこの出血が止まらなかったので子宮頸がん・子宮体がんの検査も受けました。子宮ポリープが見つかったのですが、問題はなさそうだったので、11月に凍結胚盤胞を使って、ホルモン補充周期で3回目の移植をしました」
これが何と陽性という結果に。「3度目の正直だ」と二人で舞い上がるほど喜びました。
しかし、今度はひどく苦しいつわりに悩まされる日々が始まります。一時期は入院を勧められたほどつらかったそうです。
「先生からお腹の中で赤ちゃんがちゃんと育っていないから流産の手術をした方がいいと言われて、7週目に手術しました。流産もショックでしたが、つわりの苦しさから解放される安堵も少しあって。そんなこと思っちゃいけないのに…」。思わずハルカさんの目から涙がこぼれます。
流産の手術を終えた時、アツシさんは声を上げて泣きました。
「主人は仕事が忙しく、通院もずっと一人だったので、私だけがなぜこんなにつらくて痛い思いをしなくちゃいけないんだろうって思っていました。でも主人が本気で泣く姿を見て、この人も苦しんでいたんだとわかりました」
5月から治療再開着床することを願って
アツシさんは「自分にも原因があるのに何もできない。ハルカさんばかりにつらい思いをさせて申し訳ない」と言ってくれました。それを聞き、ハルカさんは「一人で頑張っているわけじゃない。主人がそばにいてくれる」という気持ちが強くなったと言います。
流産の手術後、しばらく治療を休んでいましたが、今年4月に受けた子宮鏡検査と採血のホルモン検査で問題がなかったので、5月から再開。4回目は自然周期にして凍結初期胚で移植し、今後は凍結胚がなくなり次第、また採卵から始める予定です。
実は「いつも治療は辞めたいと思っているんです」とハルカさん。アツシさんも「つらかったら辞めてもいいよ」と言ってくれています。それでも続けるのは、「アツシさんを喜ばせてあげたい」という思いと「辞めるのは簡単。でも、辞めたら後悔のほうが増えそうな気がして」とのこと。
治療がつらかった日は必ずアツシさんに話を聞いてもらうというハルカさん。ウンウンとうなずいて聞いてもらうだけで気持ちがすっきりするそうです。そしてハルカさんのもう一つの心の支えがこの「ジネコ」なのだそう。
「流産直後は本気で不妊治療を辞めようと思ったんです。でも、その時にこの雑誌を読んで、もうちょっと頑張ろうってすっと気持ちをシフトできました!」
ハルカさんのような人を応援していきたい、改めてそう思いました。