【Q&A】妊娠後のホルモン補充~政井先生

政井先生にお聞きしました。

佐久平エンゼルクリニック 政井 哲兵 先生
鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院、日本赤十字医 療センター、佐久市立国保浅間総合病院、高崎ARTクリニック 勤務を経て、2014年に佐久平エンゼルクリニックを開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
まりかさん(48歳)
体外受精顕微授精で妊娠し、7w4日です。
注射プロゲストンデポー125mgを水曜と土曜の週2回に加え、ルティナス膣錠100mgを一日3回、エストラーナテープ0.72mgを膈日3枚ずつ貼っています(本来は注射だけなのですが、何度か移植後のプロゲステロン値が3しかなく、低くて失敗しているので、膣錠とテープを私からお願いしました)。
ホルモン補充直後のホルモン値は、E2 383.3、P4 15.5でした。
今週でホルモン補充はやめて大丈夫とのことで終わりですが、ネットで調べてみると9週とか8週まで続けると出てきます。7wでやめて大丈夫でしょうか?
今の病院でのホルモン検査は採卵前しかしません。
心配なので、来週の診察時の8w4日目にホルモン検査をお願いしようかと考えてますが、ホルモン補充を辞めて、もし自力でホルモン値を維持できなければ、診察前に流産してしまわないか心配です。
7wでホルモン補充を辞めて大丈夫なのでしょうか?
ホルモン補充周期の黄体補充(ホルモン補充)をどの時期で止めてよいのかという明確な基準はありませんが、だいたい平均的なところでは10週を境に各施設の考え方で中止しているところが多いのではないかと思われます。

10週の根拠ですが、妊娠10週頃を境に絨毛から胎盤が形成されてくると、胎盤から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用により妊娠が維持されるようになってきます。

10週以前は未だ胎盤の形成が不完全であると、胎盤由来のプロゲステロンが低い場合もあり、この時点で黄体補充を中止すると出血などが見られる場合があるように思われます。(この時期は胎盤のホルモンではなく、外から補充する薬によって妊娠が   維持されている時期とお考え下さい)

当院では、採卵周期はもちろん、胚移植周期、胚移植後の妊娠管理の時期もホルモン測定(特にE2(エストラジオール)とP4(プロゲステロン))は行うようにしています。

妊娠後のホルモン測定の目的としては、特にホルモン補充周期の場合、まず、ホルモン剤のコントロールがうまく行っているかどうかの確認になります(ホルモンの数値をみて投与量の調整を行ったり、投与期間を決めたりしています)。
例えば、妊娠10週近くになってくると、胎盤由来のプロゲステロンが上がってきますが、このとき、数値を確認することで内因性のホルモン(胎盤から分泌されるホルモン)が十分に上がっているかどうかを確認して黄体補充の終了を決めるようにしています。
当院で妊娠されたこれまで多くの方を見ていると、だいたい10週というのが一つの目安になるようで、10週を境に胎盤由来のプロゲステロンが十分な値になることが多いように思われます。

ちなみに、相談者様の施設では、当初、プロゲストンデポーのみで黄体補充をされていたものに、ご希望でルティナスを追加されているということでしょうか?黄体ホルモンには天然型と合成型があり、血中ホルモン測定で検出できる黄体ホルモンは天然型になります。

ルティナスは天然型プロゲステロンになりますので、これを投与すると7週頃に見かけ上のプロゲステロンが上がっているという現象が起こる可能性があります。今回、7週の時点でのP4 15.5と一見十分な値に上がっているようにも見えますが、これはルティナスによる外因性ホルモンを検出している可能性が高いのではないかと思います。
つまり、実際はまだ胎盤由来のホルモンが十分出ていない可能性も高い時期なので、もし私でしたら、もう少し内因性プロゲステロン(胎盤由来プロゲステロン)が十分上がったことが確認できるまで黄体補充を続けてみてもよいのではないかと思うところです。(場合によっては、膣剤をいきなりoffではなくて、デュファストンなどの内服薬に切り替えてしばらく様子をみるなど)

もちろん、おかかりの施設の主治医の先生の考え方もあろうかとは思いますので、先生とよく相談をしていただき、せっかくここまでうまく行っている治療ですので、納得のいく形で進めていただきたいと思うところです。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。