【Q&A】PGT-A胚盤胞の移植順位~浅田先生

浅田先生に聞いてきました

浅田レディースクリニック浅田義正先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
Dayanさん(42歳)
現在アメリカ在住、アメリカのIVFクリニックにて不妊治療をおこなっています。
現在採卵8回を経て、うち1回目3個、4回目3個、7回目2個PGT胚盤胞を得ました。
移植3回のうち2回陰性、稽留流産1回、現在移植4回目を迎えています。
現在、4回目と7回目のPGT-A胚盤胞があり、その戻す優先順位について悩んでいます。
担当の先生に相談していますが、判断材料として日本のドクターにもご意見を伺えたらと思っています。
主な疑問としては以下の通りです。
・PGT-A済みのため既に性別がわかっているのですが、男女では着床妊娠出産リスクに差がありますか?
・ノーマルとモザイクではやはりノーマルから戻した方が良いでしょうか? またモザイクの箇所、±によるリスク差はありますか?
・PGT-A胚盤胞で3度失敗しているので、2個戻すことも選択肢に入れていますが、リスクが高いでしょうか?
・2個戻す場合は同じ回に採卵した胚盤胞をペアで戻したほうが良いでしょうか?
また、高齢ということもあり、治療を優先して今まで着床や不育症の検査を後回しにしてきていますが、PGT-A胚盤胞移植に3回失敗していることから検査を優先した方がいいのでしょうか。
色々とわからないことだらけで判断に迷うことが多く、たくさんの質問となってしまいました。
お手数をおかけしますがご返答お願いします。

アメリカで治療をされているということですが、質問にお答えします。

「PGT-A済のため既に性別が分かっているのですが、男女での着床妊娠出産リスクに差がありますか?」という質問ですが、日本ではPGT-Aはまだ臨床研究としてしか行うことができません。また、結果の際に男女の性別を患者さんに伝えることはしていません。しかし、一般的に男女により妊娠のリスクに差があるとの報告は見たことがありません。

また、ノーマルとモザイクについてですが、ノーマルというと少し語弊があるかもしれませんので、ユープロイドとモザイクと言った方がよいと思います。

一般的にはユープロイド胚とモザイク胚があればユープロイド胚を優先的に移植することになりますが、PGT-A検査をした胚の細胞箇所と赤ちゃんになる細胞の箇所は違いますので、PGT-A検査の結果が良いからといって必ず妊娠するわけではないことはご理解いただきたいと思いますし、モザイク胚を移植する場合もモザイクのタイプにより、移植する胚の優先順位も当然変わります。

今まで3回の移植をされ、今後は2個移植も検討されているようですが、2個の受精卵を移植すると、双胎になる確率が高くなり、その場合は母児共に負担が大きくなります。本来2個移植とは2個の受精卵を2ヶ月かけて1個ずつ移植するところを、時間を短縮したいために、2個同時に移植することが目的です。

そのため、双胎になりやすいと考えられる方には2個移植は行いませんが、42歳であれば、2個移植してもそのまま2個の受精卵が育つ可能性はかなり低いと思われます。

また「2個戻す場合は同じ回に採卵した胚盤胞をペアで戻した方がよいのでしょうか」ということですが、卵はランダムに育っているので、そのようなことは全く関係ありません。

着床や不育症の検査を後回しにされているため検査を優先した方がよいか、ということですが、治療の内容を拝見すると、すでに移植の際に“スクラッチ”やPrednisone”、“Doxycycline”等を使用されていますし、もともと、着床や不育症の検査はエビデンスが低いため、検査を行う必要はないと思います。

一般的に、42歳で採れた卵であれば、受精卵の7割以上に染色体異常があると言われています。

あるデータによれば37歳くらいまでは平均12~3個の卵子で1人の赤ちゃんが産まれますが、38~40歳になると1人の赤ちゃんが生まれるまで平均22.4個、41~42歳だと平均40.2個、43~44歳だと平均94.3個の卵子が必要だという報告があります。

正倍数性の受精卵であれば、年齢による妊娠率の低下をカバーすることができますが、それでも、移植当たりの妊娠率は6~7割となり、あとの3~4割は遺伝子そのもの、遺伝子の発現の問題になります。

そのため、必ずしも、正倍数性の受精卵を移植したからといって100%妊娠するわけではありません。

最初から流産で終る、妊娠しないという胚をあらかじめ除いても6~7割の妊娠率というのが普通です。

42歳ではもともと、卵子の数が多く必要となりますので、いかに多くの受精卵を作るかが大切であるということを、理解してほしいと思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。