【Q&A】胚移植の胚個数について~井上先生

井上先生にお聞きしました。

井上 善仁 先生 昭和59年3月、九州大学医学部卒業。同年4月、九州大学医学部婦人科学産科学教室入局。平成20年4月、福岡大学病院准教授。平成28年7月に井上善レディースクリニックを開院。スタッフ一同が協力して良いクリニックを作っていき、一人でも多くの患者さんに満足していただけるよう努力している。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ぴいこさん(44歳)

1回目の採卵で8個中6個受精、3日目8分割胚2個を凍結し、残りは胚盤胞を目指しましたが凍結には至りませんでした。
移植周期となり、医師より「分割胚を1個戻しますか? 2個戻しますか?」と言われ、悩んでいます。
2個移植の方が妊娠確率があがるといわれていますが、具体的にどれくらい確率が違うものなのかと。
はじめての移植なので、選択基準がわかりません。
44歳と高齢であることから2個移植もありと考えて主治医は「1個にするか、2個にするか」という質問をされたものと考えます。
日本産科婦人科学会の見解では「体外受精の移植胚数は原則1個にすべき」としていますが、「反復不成功例や患者年齢が35歳以上の場合は2個移植を許容する」となっています。
2個移植をしたから確率が非常に上がるということはあまりないと思います。わずかに上昇する程度でしょう。基本的には1個でも良いのでないかと思います。
患者年齢が上がると卵子の質の低下が起こり、43歳で形態良好な胚盤胞でも4個のうち3個は染色体異常を有していると言われています。このため高齢の方の場合では移植をしてもうまく行かないことが増えてきます。胚盤胞まで培養延長してもなかなか胚盤胞に到達しにくくなります。現時点でこれを改善する方法はないと思います。
高齢の方の場合は胚盤胞移植を目指すよりも分割期胚を移植するほうが良いとする報告もあります。移植された胚が正常な染色体を有する胚であれば妊娠の可能性はありますのでもう少し諦めずにトライして下さい。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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