2人目不妊で治療中。
35歳という区切りに焦っています
福井ウィメンズクリニック 福井 敬介 先生 日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に入局。愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000 年愛媛大学産科婦人科学助教授。2001 年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊カップルに提供したい」と福井ウィメンズクリニックを開設する。
ゆいまるさん(34歳)2人目不妊で4 年通院中。体外受精で毎回着床しないので移植前にインバグを投与していますが、いつも陰性。移植後はバイアスピリン® を飲み、移植前から判定日までルテウム®、ジュリナ®、デュファストン® を投与しています。移植1週間後に必ず腹痛に襲われ、胃腸炎にも一度なり、おへそ周りが毎回痛くなります。病院から「35 歳まで」と言われていて焦っていますが、「一度着床しているから、このままのやり方で」と言われていて、これ以外方法がないのかと絶望しています。
ゆいまるさんの相談内容を見て、気になる点などはありますか?
福井先生●1人目は体外受精2回目で出産されていますが、2人目の治療期間4年というのはちょっと長すぎるという印象です。血液検査のデータなどがなく、これだけで判断するのは難しいですが、ゆいまるさんは現在34歳、年齢による影響は少ないと考えられます。1人目と同じように治療しても結果が出ないという人は確かにいますが、年齢が高かったり、免疫系の異常など体調の変化がある場合が多いと思います。バイアスピリンRを処方されているのも、不育症や免疫異常などの診断があったのか、それともなかなか着床しないから試しに使ってみようという判断だったのか。いずれにしても「なぜかな?」という疑問は残ります。
先生ならどのような治療法や検査を提案されますか?
福井先生●ゆいまるさんの症状として、1人目出産後に月経量が“漏れるほど”多くなっていることと、移植後の腹痛や胃腸炎などのトラブルも気になります。もしかしたら婦人科系の疾患を合併していて、それが影響しているのかもしれません。考えられる疾患の一つは子宮腺筋症。普段から骨盤痛や腹痛などの症状があり、移植の刺激によって痛みが引き起こされている可能性もゼロではありません。
もちろん、ゆいまるさんが言うように治療に対するストレスが原因であれば、一度治療をお休みしたり、別の専門医にかかるなど環境を変えてリフレッシュすることで改善されるかもしれません。でも、ストレスでは片付けられない場合があることも忘れてはいけません。1回目移植後に着床したので主治医は「このままの治療法で」と提案されているのかもしれませんが、4年も治療して結果が出ないのはなぜなのか、根本的な原因を探るためにもMRIなどで婦人科系疾患を調べてみてはいかがでしょう。
「35歳まで」という治療の区切りについてはどう思われますか?
福井先生●もしかしたら、治療が長期になり、体やメンタル的な不調もあるため、主治医はあえてリフレッシュしてもらうために区切ったのかもしれません。決めるのは難しいかもしれませんが、婦人科系の検査や精液データを見直すなど別のアプローチの仕方はまだあります。年齢的にもまだ若いので、この先も治療を続けたいのか、転院したいのかなど、夫婦でしっかりと話し合ってほしいですね。