創刊当初から応援してくださっているセントマザー産婦人科医院・田中 温先生。ユーザーの皆さんだけではなく、ジネコスタッフにとっても心強く温かい存在です。先生がジネコ応援ドクターになってくださった経緯や、患者さんへの想いをお話しいただくとともに、情報の取り方やクリニック選びのポイントを教えていただきました。
情報収集&病院選びのポイント
2. 公式ホームページの情報から先生に直接メールを送るのもおすすめ
3. 情報を発信する側と受け取る側が双方向でできる時代。上手に活用してみましょう
ジネコ応援ドクターとして協力しようと思ったきっかけや理由を教えてください。
ジネコの代表者の方が初めて病院に案内に来た時は断るつもりでいたので、「少し考えるから」と言ってその日は帰ってもらいました。しかし、次に来た時に考えが180度変わりました。
というのも、私が学生時代に没頭したスポーツを、彼はそれ以上の熱量で頑張っていたということを知ったからです。一つのことを極めようと努力し、苦労した人間なら、きっと大丈夫だと思いました。感心したのは、「応援ドクターはユーザーの評判をもとに、自分たちの目で直接見て、いいと思った先生だけ」というジネコの考え方。なかなか難しいことではありますが、今もその精神は続いていると思います。
不妊関連の情報は世の中に溢れています。その中で、ジネコがほかと違うのは、雑誌の紙質や写真のクオリティ、読者が本当に知りたい情報をわかりやすく書いていること、構成がしっかりしているところではないでしょうか。
患者さんに対する先生の想いは?
私は常に、「目の前の患者さんを、自分の大切な人だと思いなさい」と職員たちに言います。そう思えば、答えは1つしかありません。
例えば、女性の年齢が40歳前後で不妊治療歴は長く、着床しても流産をするというケースはとても多いですよね。その患者さんに対して、「胚盤胞まで育って流産するということは、着床しているということ。チャンスがある」と言うのか。確かに、チャンスがあると言われれば患者さんはうれしいでしょう。希望をもって治療を継続できるかもしれません。しかし、着床前遺伝子診断によって43歳の9割に染色体異常があり、子どもができる可能性は2.3%だと判明した今、ただ治療を繰り返すのではなく、何がその患者さんのためになるかを考えるべきです。着床前遺伝子診断を積極的に進めて流産を回避できる胚を移植するのか、卵子提供を提案するのか、それとも養子縁組や治療をやめるなどの選択になるのか。患者さん自身が選べるよう、正しい情報をもとに治療方針を提案していくべきだというのが私の考えです。
ジネコのQ&Aの質問に必ず回答をくださる田中先生。長年、メール相談も受け付けているそうですが、その理由を教えてください。
メール相談は、開業当初からですが、勤務医時代から相談や質問は受けていました。ただし、メールではなく郵送。今は私が録音した回答をスタッフが文字入力していますが、当時は一通一通に直筆で返事を書いていました。
なかには、私や病院スタッフに対しての悪口のようなものもありました。どこにもぶつけようのない治療のストレスや不安、愚痴を吐き出せる場所がほしかったのかもしれません。私はそういう時ほどその人が理解し安心できるよう、丁寧に説明することを心がけました。
セカンドオピニオンの時でも主治医や治療に対しての不満や不安、悩みが届きます。私は「先生を信じていれば、子供が産めますか?」とはっきり言うべきだと回答します。直接言えないなら、先生宛てにメールを書けばよいのです。思いを伝えても変化がなかったり、腹をたてられたり、メール返信がないような先生なら、転院すればいい、とアドバイスをしています。
情報の取り方や病院選びのポイントは?
どの病院を選べばいいのか、何が正しい情報なのか。雑誌やホームページ、SNSなどには膨大な情報が溢れているわけですから、見極めが難しいと思うでしょう。しかし、それを上手に利用する、という方法があります。
まずは、公式ホームページから、先生宛てにメールを送ってみるという方法。対応の仕方でその先生や病院のタイプを知ることができます。ブログやnoteなどで不妊に関する投稿を見つけた時は、コメント欄やDMで質問を送ることで、正しい情報かそうでないかをある程度は振り分けることができるでしょう。
オンラインセミナーもとても有用です。通いたい病院や相談したい先生がいても、今までなら地理的に諦める場合もあったと思いますが、オンラインなら全国どこからでも視聴でき、事前質問や当日リアルタイムのチャットなどで質問することも可能です。私も昨年11月にジネコ主催のオンラインセミナーを開きましたが、反響が多く、皆さんの求めに対して今まで以上に応えられるようになったのではないかと思います。ぜひ、ジネコの皆さんには今後も力を入れて開催していただきたいですね。
以前は病院の広告やネット上で発信される情報を一方的に受け取るのがメインだったかもしれませんが、今は双方向でできる時代です。それを上手に使えるようになれば、情報の取り方も病院選びも大きく変わると思います。