わたしとジネコ~ファティリティクリニック東京・小田原先生

創刊当時からジネコの応援ドクターとして参加してくださっている、ファティリティクリニック東京の小田原 靖先生。日頃、先生が患者さんとのコミュニケーションで大切に想っていること、それはジネコでどう反映されているのか、また、今後さらに誌面やWEBでチャレンジしたいことなど、ジネコへの熱い想いを語っていただきました。

ファティリティクリニック東京 小田原 靖 先生 東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987 年、オーストラリア・ロイヤルウイメンズホスピタルに留学し、チーム医療などを学ぶ。東京慈恵会医科大学産婦人科助手、スズキ病院科長を経て、1996 年恵比寿に開院。

ジネコ応援ドクターとして協力しようと思ったきっかけや理由を教えてください。

1987年から数年間、オーストラリアに留学し、婦人科病院で生殖生物学を学ぶ機会がありました。もう30年以上前ですが、当時すでに患者さんを集めてドクターが治療などについて詳しく説明する患者説明会のようなものが存在していたのですね。

チームにはドクターはもちろん、費用的な面で苦労する方に対してフィナンシャルの相談ができる人、心理的な悩みを相談できる人もいて、さまざまな面で患者さんへの情報提供やフォロー、医療スタッフや患者さん同士が交流できる場を設けていたのです。

そのような活動を間近で見て、治療以外でのコミュニケーションはとても大事だと感じ、日本でも実践していかなければいけないと思っていました。

不妊治療は治癒率が100%ではありません。うまくいく人がいればうまくいかない人もいます。条件や背景によって治療法や見込みは人それぞれ異なってきます。「私はどうすればいいの?」と迷った時、雑誌やWEBなどのコミュニケーションツールは情報源として必要な存在に。誰でも手軽に閲覧できて、いろいろな意見を参考にすることができます。

ただし、SNSやWEBに掲載されている情報の中には信憑性が低かったり、正しくないものも。ジネコは医師から見ても信頼できるドクターによる情報を厳選して紹介しているので、安心できます。手軽ではあるけれどきちんとフィルターがかかっています。情報が溢れている今、それは非常に重要で、僕も応援ドクターとしてぜひ協力したいと思いました。

ジネコではインスタライブやオンライン質問会など、オンラインでの活動にも力を入れていますが、これについてはどう思われますか。

すごくいいことだと思いますね。もちろん対面でもいいと思いますが、オンラインだとリアルタイムで更新できるので、たとえば2022年の4月から始まった不妊治療の保険適用など、新しい情報をすぐに紹介できますよね。

実際に会わなくてもドクターに相談できたり、患者さん同士が交流できるというのはwithコロナ時代にも合う形であり、地域を越えて参加することができます。

医師側からすると実はオンラインのほうが本音を話しやすいというのもありますね。おそらく患者さんも診察室で話すよりは緊張しないので、普段先生に聞けないようなお話もできるのでは。それは我々ドクターにとっても貴重なことで、「ああ、患者さんはこんなことを知りたかったんだ」と逆に勉強させていただいています。動画による配信だと、医師の人となりがよりわかって、患者さんにとってクリニック選びの参考にもなるのではないでしょうか。

現在、セカンドオピニオンや質問会など、ジネコではさまざまな形で情報提供をしていますが、今後さらに期待することは?

不妊治療にはさまざまな治療法があり、新しい検査も開発されています。それら一つ一つのデータについて有効性がどう考えられているのか、いわゆるエビデンスに関する情報については、一般の方では手に入れにくいというのが現状です。漢方やサプリについてもそうですよね。

あまり良くない情報も含め、国際的なエビデンスデータが気軽に見られるようになるといいと思います。たとえばセカンドオピニオンなどのテーマに合わせてリンクを張り、参考資料として活用できる。今までやったことのない、受けたことのない治療や検査を提案された時、選択する一つの材料になるのではないかと思います。そのようなアカデミックな部分を厚くしていくことも期待していますね。

現在治療している、これから治療を始めるジネコ読者へ、クリニック選びのポイントなどをアドバイスいただけますでしょうか。

2022年4月から不妊治療に保険が適用されるようになりました。これについて、経済的なハードルが下がるという利点がありますが、一方で保険適用内においてはやることが決まっているので、治療が画一化されてしまうという部分もあります。

不妊治療は患者さんの条件や背景などによってやり方は異なってきます。場合によっては保険治療では難しく、自費で治療をせざるを得ないことも。経済的でも保険適用内でずっと治療を続けても結果が出なければ意味がありません。今後はそういうところをきちんと検討してくれる、納得できる説明をしてくれるクリニックを選ぶことが重要だと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。