なかなか着床しない、年齢のせいなのか、原因は他にもあるのか・・・。
そもそも同じ治療を繰り返してよいものか・・・、悩ましいですよね。
政井先生にお聞きしました。
佐久平エンゼルクリニック 政井 哲兵 先生 鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院、日本赤十字医 療センター、佐久市立国保浅間総合病院、高崎ARTクリニック 勤務を経て、2014年に佐久平エンゼルクリニックを開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
ふゆみんさん(42歳) 治療4年。採卵、移植を繰り返し、今月9回目の移植も陰性でした。
ここ2年くらいは、着床すらしません。
原因不明です。
同じ治療を繰り返して妊娠する事はあるのでしょうか?
高齢のため治療をやめるべきか考えていますが、気持ちがあきらめつきません。
リンパ球混合培養検査で−200の値が出てしまい、ICAM療法をしてまもなく2年経ちます。
着床の妨げになっているのでしょうか?
対策の治療は他にありますか?
治療を続ける場合、転院を考えていますが何の検査や治療をしたらよいでしょうか?
よろしくお願い致します。
アメリカではFDAがリンパ球移植について中止を勧告するに至っているとのことです。
なので、私の個人的な見解としては、時代の移り変わりとともに徐々に廃れていった治療法という風に理解しています。
もちろん、これまでに蓄積されたエビデンスや過去の様々な見解の全てを否定するものではありませんが、現代においては重要性の低い治療、あらゆる治療の中でまず最初に考えるべきものではないという風な認識です。
今後不妊治療を続ける場合にどうすべきか?
そもそも論のところで、この方がこれまでに移植した受精卵が赤ちゃんになれる卵であったかどうか?
(染色体異常が否定された卵であったかどうか?)は重要なポイントではないかと思います。
PGT-A検査については様々な見解がありますが、この方の場合は2回以上のART反復不成功として、PGT-Aの臨床研究にエントリーできる症例ではないかと思います。
(もちろん認定施設でという条件はつきますが)
今後の治療を終結とするべきか否かについては一概に私の方では言えませんので、患者様ご自身の希望を第一に考えるべきですが、もし治療を継続するとして転院も視野に入れておられるようでしたら、ぜひPGT-A実施可能な認可施設での採卵を検討しても良いと思います。
PGT-A正常胚が必ずしも赤ちゃんになれることを保証された胚ではありませんが、従来の体外受精での反復不成功を考えると次の一手と言えると思います。
(というよりも、ありとあらゆる重箱の隅を突くような着床不全の検査を行うよりまずはそもそものところで、これから戻す卵が赤ちゃんになれる卵なのかどうかを確認しておく意味は大きいと思います)
その上であれば、その他のありとあらゆる着床不全の検査も、それなりの意味が出てくる可能性はあります。
(リンパ球移植については良いとも悪いともなんとも言えませんが、そもそものところで赤ちゃんになれる卵がなければ、検査自体が意味をなさないという風には思います)
おそらく年齢的なところで考えると、PGT-Aで正常胚(移植可能胚)が得られる可能性自体は低いかもしれませんが、もしそれでも1つでも正常胚が得られたとしたら、その段階でその卵を出産まで導けるような、それこそ考えられうるありとあらゆる着床不全の検査を受けてみても良いのではないかと思います。
(最近はERA、EMMA、ALICE検査など別の切り口での着床不全の検査もありますが、これらの検査も将来的に赤ちゃんになれる胚が確保できた状態で行うのとそうでない場合では、意味合いが大きく変わってきます)個人的には、治療自体に後悔を残さないために、もし施設を変わる選択肢をお持ちでしたら、ぜひPGT-A認可施設での採卵を検討してみることを勧めたいと思います。