【Q&A】着床不全とセカンドオピニオンについて~岩見先生

なかなか着床しない…どのように治療を進めていくべきか??

岩見先生に聞いてきました

神谷レディースクリニック 岩見 菜々子 先生 札幌医科大学卒業。2014 年より神谷レディースクリニック勤務。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本産科婦人科学会認定専門医。日本抗加齢医学会専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

Waiwaiさん(35歳)

これまで、凍結胚盤胞移植を6回行いましたが、一度も着床していません。6回中2回は、2個移植でした。
グレードは、拡張胚盤胞Aaが4回、拡張胚盤胞Abと胚盤胞Aaの2個移植、そして拡張胚盤胞Bbと胚盤胞Abの2個移植です。
いずれもアシステッドハッチング(AHA)あり、GM-CSFオプションありです。
これまで受けた検査結果は下記の通りです。
●子宮ファイバースコピー(子宮鏡)検査:異常なし
●トリオ検査(ERA/EMMA/ALICE):窓のズレ、異常なし
●不育症スクリーニング検査(免疫機能検査、血液凝固因子、凝固阻止タンパク、抗リン脂質抗体検査、染色体検査):th1/th2細胞
比が高め(13.1%)⇒ プログラフ1mg(タクロリムス)を朝夕1錠ずつ服用。
●潜在性甲状腺機能低下症の疑いあり:チラージンSを朝1錠服用。
残りの凍結胚盤胞䛿1つですが、冬の間は一度治療をお休みし、春になったら、もう一度採卵からやり直そうと思っています。
1.これまで一度も着床していないのですが、他に考え得る原因や、受けるべき検査はありますか。卵側の原因なのか、血流などの問題なのか… このまま採卵と移植をひたすら繰り返すしかないのでしょうか。
2. セカンドオピニオンを受けたくても、田舎のため病院の選択肢が少なく、どうするべきか悩んでいます。詳しい検査結果が分かれば、紹介状なしでも、セカンドオピニオンを受けることができる病院もあるのでしょうか。
今通っている病院の医師は、話を聞いてくれる雰囲気が全くありません…。本当は色々と質問・相談したくても出来ずに悶々としています。
ただ、県内では施設・技術面で「最後の砦」とも言われている病院なので、転院するのも躊躇しているのが現状です。
お忙しい中恐れ入りますが、アドバイスを頂ければ幸いです。

 

不妊原因として現在検査できるものは概ね検査されていると思います。

一番大きな胚要因についての検索がまだですので、やはり印象としては受精卵の問題が一番大きいように考えられます。

良好な胚盤胞も含め過去6回移植を行っていらっしゃいますが、もしご夫婦に染色体の転座など構造異常があった場合位は年齢平均よりも妊娠率が低くなります。もし可能であれば一度ご夫婦の染色体検査を採血で行い、相互転座などの有無を調べてみることをお勧めいたします。染色体の構造異常がない場合には、日本産婦人科学会主導のP G T―A臨床研究に参加ことを検討されてみてはいかがでしょうか。臨床研究対象施設であるかどうか確認され、もし対象施設でない場合には転院も一つの選択肢かと思います。胚の形態状の評価はあくまで胚培養士の主観的評価に依存することが多く、施設が変わると形態評価も変わってしまうこともあります。P G T―Aは客観的評価ですので、学会での中間報告によりますとA判定であれば平均60%以上の妊娠率と報告されております。

染色体の構造異常があった場合には日本産婦人科学会主導の臨床研究の一環としてP G T―S Rを申請し、受精卵の着床前検査を検討することができます。

セカンドオピニオンを受ける御施設が近隣にはないとことでしたが、年齢も若く、採卵もでき、良好胚も獲得できておりますので、少し遠方でも施設を変更することを考慮してみることは意義があると考えられます。転院の際には各施設の体外受精の成績についても公表されているデータを確認してみることをご提案いたします。

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