マイクロポリープは抗生剤を飲めば治るのでしょうか?

両角レディースクリニック 両角 和人 先生 福島県立医科大学医学部卒業。ハワイ大学医学部生殖生物学研究所留学、福島県立医科大学産婦人科学講座助教、国際医療福祉大学大学院講師などを経て、2012 年に両角レディースクリニック院長に就任。患者さんやスタッフなど「ご縁のある方を幸せにする」というのが信条。
相談者 : ゆきこさん(38歳)体外受精ステップアップ前に子宮鏡検査をしたところ、マイクロポリープが見られました。CD138検査も行い、score1ですが、陽性が出たため念のため抗生物質ビブラマイシン®を2週間服用して治療。その後再検査していませんが、マイクロポリープはビブラマイシン® で治っているのか、そのまま放置でも着床に問題ないのでしょうか? 小児からのアトピー性皮膚炎もちなのもあり、子宮内膜が整っていないのかなとも思っています。

マイクロポリープとは? どのような検査で見つかるのですか?

両角先生●マイクロポリープは非常に小さなポリープがたくさんある状態で、目に見えないものもあります。顔でいうと肌荒れのような状態で、数やできている場所によって着床に影響が出ることも。体質というより、細菌感染が原因のことが多く、10人に1人くらいの割合で見られます。
 マイクロポリープを見つける検査には子宮鏡を使うものとCD138検査という組織を調べる検査の2種類があります。一般的には子宮鏡検査が行われることが多いのですが、見た目で病変を観察するので客観性が乏しく、医師によって所見が異なったり、見落としてしまうこともあるのですね。
 CD138検査は子宮内膜の組織を取り、免疫染色をして調べる方法。感染が起きるとそれを退治するために、形質細胞(CD138陽性細胞)という特殊な白血球が現れます。免疫染色をすることでその数を調べるのですね。

数が多い場合は薬などで治療をするのでしょうか。

両角先生●診断ではscore1ということですが、これは通院されている施設独自の基準なのでしょうか。通常は顕微鏡で組織を観察して10視野に5個以上形質細胞があれば、抗生物質を投与します。
 抗生物質はサードラインまで準備しており、ファーストラインから試して、治らなければ順番に使っていきます。最初はビブラマイシンRを使う施設がほとんど。これが効いたかどうか再検査しないとわかりませんが、ファーストラインで完治しないケースは半数以上あり、サードラインまでいっても10%程度の人が改善しないといわれています。その場合はまたファーストラインに戻る形に。

抗生物質を投与するのがベストな治療なのですか。

両角先生●投与を繰り返せば9割以上の方は改善しますが、抗生物質を飲むと子宮内の良い菌まで殺してしまいます。腟剤などで乳酸菌を補充する治療も併行していくことが必要でしょう。
 また、当院ではほかに外科的な治療も行っています。腹腔鏡を使って管を挿入し、子宮の中や卵管を生理食塩水できれいに洗ってしまう。そうすると慢性子宮内膜炎をはじめ、卵管水腫や子宮内膜症も改善できるのです。ポリープは子宮鏡で全面掻爬します。内服薬で治療すると3~4カ月かかりますが、外科的な対応だと1カ月程度で治せるという利点があります。
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