体外受精にとって、刺激法の選択はとても重要です。
年齢が30代後半ともなると、一回のチャンスを大事にしたいところ…
刺激法の選択はどうしたらいいのでしょうか?
浅田先生に聞いてきました。
みゆきさん( 39歳)
前回採卵しましたが、自然排卵していたのか採取できず終了し、その2週間後すぐに生理がきました。 専門医へ転院し、現在ショート法の採卵周期です。
hmg300を9日打ち、採卵個数は全部で5個。
1番大きいサイズも18と小さくて、他は13、11など15以下サイズです。
注射がまた追加になりましたが、刺激の反応も少なくてこのまま採卵できるのでしょうか? 年齢も39歳、経済的にも精神的にも今回最後とかけていました。
他に治療法はありますか?
現在、ショート法の採卵周期で、刺激の反応も少なくこのまま採卵ができるのでしょうか?他に治療法があるのでしょうか?というご質問ですが、この刺激を何回行ったらよい、などという話ではありません。
何よりも、AMHが不明というのは残念です。
AMHとは卵巣予備能の検査ですから、刺激を行うには、その卵巣予備能に見合った適切な刺激を行わないといけません。
卵子は半年前から、何もしなくても育っています。刺激は、卵子が育つ最後の1ヶ月の仕上げとして行いますので、卵巣予備能に見合ったホルモンの血液中の濃度を管理して、最大限に、成熟卵が採れるタイミングで採卵を行うことが重要です。注射をどれだけ打った、何法だからということではなく、注射を打って血液中の濃度がどうなっているか、刺激をスタートした時の胞状卵胞数がどうなっているか、を考慮して刺激をしていき、その周期でもっとも良いタイミングで成熟卵を採ることが一番大切な戦略だと考えて頂きたいと思います。
卵子を成熟させるには採卵のタイミングが重要です。新鮮胚移植の場合は、内膜の条件が悪くなることがあるため、内膜の条件に合わせると成熟卵の数が少ない時期に採卵になってしまいます。
卵子は半年前から勝手に発育していますので、採卵する卵子の数を増やすことはできませんが、5ヶ月育ってきた卵を一番有効に使用できる成熟卵で採卵できるように刺激を行い、タイミングよく採卵することが、医師の腕の見せどころとなります。
みゆきさんは39歳ですので、世界的な平均をみると1人の赤ちゃんを出産するには、だいたい30個の卵子が必要だと言われています。そのため治療の戦略としては、30個の卵子をいかに早く短時間で採ることができるかが重要になります。
ただ、30個というのは平均ですから、10個の卵子で出産に至る人もいれば、30個以上の卵子が必要な人もいますので、きちんと採卵ができ、受精率が高く受精卵が多くできるという治療方針のクリニックで治療をすべきだと思います。
少なくともAMHは測定し、数値に見合った卵巣刺激を考えてほしいと思います。