【Q&A】2度の良好胚移植の陰性について~藤本先生

グレードのいい受精卵を移植しても、良い結果につながらない…

着床障害なのでしょうか?

何か対策は打てるのかな?

藤本先生に聞いてきました

 

藤本 尚先生

日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。

ピヨさん(29歳)

このまま治療を続けてもいいのかをご相談したいです。
現在凍結胚移植を行っており、1度の採卵で、

5日目胚盤胞:4つ
6日目胚盤胞:1つ
初期胚凍結:4つが凍結保存されました。

移植は、
1度目:4AA胚盤胞移植 化学流産診断(BT11時点 血中HCG:7.7)
2度目:4AB胚盤胞移植 陰性という結果に終わってしまいました。

見た目でしかないので、参考程度だとはわかっているのですが、残りの胚のグレードを伺ったところ、4BB、4BC、3BBと聞きました。

まだたった2回の移植・・・とは思っているのですが、4AAと4ABの良好胚を移植しても結果が出ず、それよりもグレードが悪い胚を移植していい結果が出るのか・・・と不安な気持ちになっています。

もうすぐ30歳ではありますが、自分と同年代の方だと1〜2回の移植で半数以上の方が妊娠されている印象があります。

妊娠不成立には受精卵の染色体の問題が大きいとはいうものの、着床障害という言葉もちらつき、このまま移植をしてもいいのかと迷いも出てきています。

現状での追加検査等はまだ検討するには早すぎるのでしょうか。ご意見を伺いたいです。

 

ピヨさん、初めまして。さっぽろARTクリニックn24の藤本と申します。

早速ですが、ご質問の件につきお返事させていただきます。

初めに結論から書きます。

もう1回は追加検査は行わずに胚移植を行ってもいいかと思います。

ピヨさんは29歳で1回の採卵で初期胚:4個、day5胚盤胞:4個、day6胚盤胞:1個の合計9個の凍結胚が得られたというのはとても素晴らしいと思います。2回の胚移植(4AA、4AB)の胚移植が不成功に終わったのはとても残念ですが、残っている4BB、3BBの胚盤胞も良好胚盤胞と言えます。質問票を見るとピヨさんは全てわかっているような気もします。『見た目でしかないので参考程度だとはわかっているのですが、、、』『まだたったの2回の移植、、、』などすべてその通りで胚のグレードはあくまでも見た目のもので、本当の意味での胚の質を表していないこと。着床障害は3回の良好胚を移植するものの着床に至らない場合を指すこと。でも、2回うまくいかないとこのままやってもうまくいかないんじゃないか、、、と思ってしまいますよね。でも、私から見たらピヨさんの年齢と残っている凍結胚の個数と状況考えれば現時点ではまだ心配せずに、このまま少なくともう1回は普通に凍結融解胚移植を行うといいかなと思えます(これはこのままもう1回の移植で妊娠に至る可能性が十分あるという意味です)。

数字の話をすると今あるデータの最新は2018年のものですが、ピヨさんに説明するのに使えるデータは2017年の日本産科婦人科学会のARTデータブック(https://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/2017data_20191015.pdf)の13~14ページが参考になります。

グレード分けはされていませんが、29歳の凍結融解胚盤胞移植の妊娠率は52%、凍結融解初期胚移植は29%です。これが40歳になると、凍結融解胚盤胞移植の妊娠率は33%、凍結融解初期胚移植は19%になります。これはピヨさんの年齢なら初期胚移植でも40歳の胚盤胞移植に近い妊娠率が出せるという意味です。また29歳だと胚盤胞移植は52%(実際には4AA、4ABなら概算ですが60~70%程度あったと思いますが、、)なので、ピヨさんもおっしゃっていますが『1-2回の移植で半数以上の方が妊娠されている、、、』のも事実です。ただ裏を返すと計算上は20%程度の人は2回移植しても妊娠できない人もいると言えます。ピヨさんは2回の移植でうまくいってないので自信なくなっているかもしれませんが、年齢を考えれば自分の胚にもっと自信持ってもいいと思います!。

最後に、着床障害の検査は僕が主治医なら現時点では僕からは勧めません(良好胚移植2回不成功の段階なので)が、ピヨさんが気になるなら主治医の先生に申し出れば検査してくれるかもしれません。ただ、僕と同じ意見を言われるかもしれません。

以上、こんな返事になってしまいましたがピヨさんが効きたい返事になったでしょうか?

ピヨさんが妊娠できるのを陰ながら応援しています。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。