受精卵が出来て、いざ移植のステージへ。
ここまで来たら、着床、妊娠、出産へとステップを踏んでいきたいところ。
結果を出すための移植の条件は、どんなものなのでしょう?
生田先生に聞いてきました。
いくたウィメンズクリニック生田 克夫 先生 名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986 年から体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。
みゆさん(39歳)
なぜか生理5日目からショート法で刺激開始し、生理15日目に採卵予定になりました。確実に採れそうなのは2個らし いです…。前回、新鮮胚盤胞移植でダメだったので、凍結したいと希望を伝えましたが、2個で移植ってどうなのでしょう か?しかも先生からすすめられたわけではなく、妊娠率をみて凍結したいという、こちらからの要望です。子宮内膜の厚 みも現段階で問題ないみたいなのですが、凍結しないほうがよいでしょうか?ベストな移植の条件は何なのでしょう か?凍結するかどうかも今悩んでいます…。
ショート法で行うのならば月経開始の1,2日で行う方がいいでしょう。さもないと卵巣が動き出して(正確に言えば視床下部の月経中枢が動き出す)数個ある排卵をしようとしている小卵胞が発育を始めてしまい、大小の差がつき始めてしまいます。通常5日目くらいから1個のみを排卵させるためのこの機能が動き始めてしまうので5日くらいから刺激し始めるのだと発育してくる卵胞の大きさの差が大きくなってしまい採卵できる卵子数が減ってしまいます。
新鮮胚と凍結胚の移植成績で比較すると凍結胚の移植成績の方が妊娠率は高くなると思います。日本産婦人科学会の全国平均のデータでもそうなっています。原因は必ずしも明らかではないのですが、採卵周期はエストラダイオールが通常の月経周期よりも数倍から数十倍高くなるので、これが子宮内膜に着床に不利な影響を及ぼしているのではないかとか、クロミッドを使用している周期ではクロミッドの影響がでているとか考えられています。
当院では複数の良好な初期胚ができてきた場合、1個を新鮮胚で移植し、妊娠に至らなければ凍結胚を移植しております。しかし胚が1個のみであまり質が良好でなく、凍結解凍に耐えられないと判断される場合は新鮮初期胚で移植します。ですからもう少し回収卵子が多くなるような刺激をされて凍結胚でも移植できるようになさったらいかがでしょうか。