子宮頚管拡張について~浅田先生

子宮口が狭くカテーテルが入りにくい…このような状態は妊娠率に影響を及ぼすのでしょうか?

浅田レディースクリニック 浅田義正先生に聞いてみました!

浅田 義正 先生名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の勝川、名古屋駅前のほか、昨年5月には東京・品川駅前にもクリニックを開院。

Waiwai さん(34歳)1回目の凍結胚移植の際、子宮口が狭くカテーテルが入りにくく苦戦した経緯があったため、 今回、凍結胚移植日の「1週間前」に頸管拡張の処置を受けました。 

具体的にどのような処置をしたのか説明がなかったのですが、局所麻酔で、重い痛みを伴うもので した。 

細い器具を挿入するタイプのものだったのかもしれません。 

通常、「移植の1週間前」にこのような処置をすることはあるのでしょうか。 

インターネットで調べると、「子宮内膜が傷つくので、移植直前ではなく前周期に行うべき」とか、「前 日/当日に吸湿性頸管拡張材を挿入する」という投稿はあったのですが、あまり詳しい情報は得ら れませんでした。 

なお、昨日処置をしたのですが、お腹の痛みと出血があります。 

着床に悪影響がないのか、心配です。 

また、カテーテルが入りにくく苦戦した(時間がかかった)場合、凍結胚への影響はあるのでしょう か。 

痛みで子宮が収縮したりすることで、妊娠率が下がるといったような可能性もありますか? 教えて頂ければ幸いです。

子宮頸管拡張は、流産手術や内膜掻把等の子宮内の操作をするときに子宮口を広げていく操作で、へガールという金属の細い棒を挿入して少しずつ広げていきます。子宮頸管拡張はかなりの痛みを伴うため、私は局所麻酔ではなく静脈麻酔で意識のない状態で行います。痛みの程度は、どの程度拡張したかによっても変わります。

移植の一週間前に処置を受けたため心配されているようですが、移植と同じ周期で行う場合、一般的には生理が終わってすぐの5日目、6日目くらいに行うことが多いと思われます。

子宮の頸管を拡張するものですので、通常、内膜を大きく傷つけることはありません。また、もし傷ついたとしても、それが移植に対して悪影響を与えるかどうかは疑問です。かつて、移植の前周期や移植周期の初めに、子宮内膜をわざと傷つけるキュレテージという操作が着床に効果があると言われていたことがありました(今では、そのエビデンスはほとんどないといわれていますが)。このことは、少々内膜が傷ついても、妊娠率が大きく落ちることはないことをあらわしています。また、一週間経ち着床する頃には、内膜はかなり修復されているはずですので、問題はないと考えられます。

多くの方が、子宮内膜について色々と心配されていますが、受精卵が育つかどうかは、染色体異常、遺伝子の構成で90%以上が決まると私は思っています。異所性妊娠(子宮外妊娠)は子宮内膜が全くないところで成立しますし、代理出産では他人の子宮に受精卵を移植しても、きちんと着床して育つことが分かっています。つまり、内膜の条件をいくら良くしても、受精卵の遺伝子の構成が正しくなければ途中までしか育たないということになります。

ですから、子宮頚管拡張の着床への影響については、心配する必要はないでしょう。

 

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