ウィズコロナで変わる不妊治療

 

突然、私たちを襲ってきた新型コロナウイルス。感染の終息が見えないなか、日常の生活はもちろん、不妊治療にも変化が求められています。不妊治療専門クリニックではどのような対策をしているのか、今後、治療のスタイルは変わっていくのか、ファティリティクリニック東京の小田原靖先生に詳しいお話を伺いました。

 

小田原 靖 先生(ファティリティクリニック東京)東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987年、オーストラリア・ロイヤルウィメンズホスピタルに留学し、チーム医療などを学ぶ。東京慈恵会医科大学産婦人科助手、スズキ病院科長を経て、1996年、恵比寿に開院。久しぶりに観た映画『ボヘミアン・ラプソディ』は、若いころクイーンのコンサートを実際に観たこともあり、迫力と音に感動しました。その後、DVDを買いましたがやはり映画館で観た感動とは違いますね。ご夫婦でも映画など何かを共有して、そこから会話が弾むのはとてもいいことですよね。

感染者数が増加してから胚移植を控える傾向に

東京では3月後半くらいから新型コロナウイルスの感染者数が増えてきて、当院に通院されている患者さまも「このまま通院していいのか」「治療を続けて大丈夫か」と、危機感を持たれるようになってきました。

4月以降は現時点での妊娠が妥当かどうか不安に思っていらっしゃる方もおり、移植などは控えようという流れに。胚移植は様子を見る状況でしたが、採卵して受精卵を凍結したり、一般の不妊検査や子宮鏡による検査や治療などは患者さまがご希望されれば行っていました。

外来の診療時間も午前中だけに短縮しました。状況を見ながら少しずつ延ばしていって、現在は通常のペースに戻りつつあります。

クリニックの感染対策として一番に考えたのは人や物との接触を避けること。診察室や受付には患者さまとの間にパーテーションを立て、診察時、医師はマスクとゴーグルを着用しています。診察が終わったらドアノブやテーブルをしっかり消毒してから、次の患者さまに入っていただいています。

また、待合室では感染の危険性がある雑誌類やウォーターサーバーは撤去。お子さま連れの来院は控えていただき、キッズルームも閉鎖しました。採精室も閉めて、基本的に精子はご自宅で採り、持ってきていただくような形にしています。

通院回数を減らすためにオンライン診療を開始

さらに、なるべく集団になることを避けるために、月2回土曜日に開催していましたIVF学級は3月から動画でご覧いただくことになりました。遺伝カウンセリングや心理カウンセリングもオンラインシステムを導入して、人と人が対面しないような配慮をしています。

なるべく来院する回数を減らす工夫をしていますが、どうしても来院が必要な場合は、患者さまには必ず、発熱などの体調不良がないか確認していただき、クリニックに入る際はマスク着用、20秒以上の手洗い・消毒をお願いしています。

コロナ禍の状況になって、診察で大きく変化したことはオンラインの活用ではないでしょうか。当院でもオンライン診察が始まりました。「クリニクス」というオンライン診察アプリをインストールして登録を行い、予約していただければどなたでも診察が可能になります。

まだ導入したばかりなので、どのくらいのことができるか模索中ですが、おそらくこの流れは今後も続いていき、凍結胚のご説明などもオンラインで完結できるようになってくるのではないかと思います。

コロナ禍をきっかけに治療を見直し始めた人も

新型コロナウイルス感染はいつ終息するのか先が見えず、不安を抱いている方も多いと思いますが、逆によかったこともあります。「これから何が起こるかわからない」という状況下に置かれることで、もう一度不妊治療を見直す方も増えてきました。

「漫然と続けるのではなく、これから治療は効率的にしていこう」「必要なものは積極的にやっていこう」という方向にシフトする患者さまが多くなってきた印象があります。

その思いにお応えするためには、これまで以上に医療側のきめ細かいフォローが大切。通院回数が減ってくる分、ホームページなどで迅速かつ、まめに情報を発信して、患者さまの不安や疑問を解消していきたいと思っています。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。