Q 卵管に問題があり卵巣年齢も 高め。体外受精はできる?

伊藤 哲 先生 順天堂大学医学部卒業、同大学院修了。順天堂大学医学部産婦 人科学教室講師、国際親善総合病院産婦人科医長を経て、1999 年あいウイメンズクリニック開院。日本生殖医学会生殖医療専門医

ドクターアドバイス

AMHが極端に低いので、早めに採卵をすることが一番のポイント。
●水腫は着床の環境を悪くするので、体外受精前に腹腔鏡手術で処置を。
葉月さん(36歳)からの相談 Q.卵管造影検査後に高熱と激しい腹痛が起こり、病院へ行った ら骨盤腹膜炎と診断され、通院で点滴治療をすることになっ たのですが、その日の夜も高熱が出て、翌日大学病院を受診。 検査をしたら炎症の数値が少し下がり、熱も37度台まで下 がったので、ミノマイシンⓇ錠をもらって帰宅し、今は自宅で 安静にしています。5歳の時に盲腸、25歳の時に腸閉塞に なり、今もひどい便秘。卵管造影の結果は左卵管閉塞、右 卵管水腫ということで、MRIの検査をし、腹腔鏡手術をする ということです。腹腔鏡で中がどうなっているか、処置がで きるかによるらしいですが、こんな状況で体外受精はできそ うですか? AMH値が0.24ng/mlと卵巣年齢が高いので、 採卵も困難になるのでしょうか。

子宮卵管造影検査後に骨盤腹膜炎を起 こされたそうです

が、これはよくあるこ となのでしょうか。
伊藤先生 体内に異物を挿入する検査な ので、体の抵抗力が弱っている時は感染 やアレルギーのリスクがゼロとはいえま せん。しかし頻度は低く、もし炎症を起 こしたとしても葉月さんのように抗菌薬 を服用すればじきに治まってくるでしょう。検査で右卵管に水腫が認められたとのこと。もともと炎症があり、これにより腹膜炎を引き起こしやすい状態になっていた可能性もありますね。

炎症が落ち着いたら、腹腔鏡手術を受 ける予定とのことです

が、手術ではどのような処置をするのですか。

伊藤先生 右卵管水腫は卵管が分泌液などで塞がってソーセージ状になっていると考えられるので、腹腔鏡下で卵管采の先を広げて卵管が通るような施術をすると思います。

左卵管の閉塞については腹腔鏡下での手術より、カテーテルを腟から子宮内を通して治療するFT(卵管鏡下卵管形成術)のほうが適しているのでは。左右違う方法で治療しなければなりませんが、経過を見て卵管の通りがよくなれば一般不妊治療で妊娠する可能性も。腹腔鏡手術後、1、2周期ほど間を置けば不妊治療を開始することができます。

葉月さんにとって、一番重要な不妊治 療のポイントは?

伊藤先生 ホルモン数値について、FSHは 8 ・ 91mIU / ml と高めですが、まだ2 桁にはなっていません。問題なのはAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値で、0・24ng/ ml とかなり低めです。通常、年齢 による平均値は 40 歳で1 ng / ml 、 45 歳でng/ ml 程度ですから、葉月さんの値は50 歳近い。閉経前くらいの数値といえま す。残っている卵子の数が少ないという ことなので、とにかく早めに体外受精に 臨んで卵子をある程度確保しておくこと が一番重要なポイントですね。

多めに採れれば受精卵を凍結してお く。AMH値は卵子の質を表しているわ けではないので、良い卵子が採れれば妊娠の可能性は十分あると思います。

体外受精で臨むのなら、卵管の治療は しなくてもいいのでしょうか。

伊藤先生 確かに体外受精では卵管を使いませんが、卵管水腫があると細菌や毒素、サイトカインなども含まれる内容液が子宮まで流れてきて、その影響で着床環境が悪くなってしまいます。

体外受精に進むとしても、その前に腹腔鏡手術で溜まった液体を排出して中をきれいにする処置を行うか、不妊治療を体外受精に絞るということなら卵管を切除してしまうという選択もあるでしょう。いずれにせよ、まずは腹腔鏡手術を受けて、中の状態を一度確認しておくことをおすすめします。

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