Q 卵子には問題ないのに、 子宮内膜が薄くて着床しない
ドクターアドバイス
相談者のこりんさんは、 3 年前に子宮内 膜ポリープ切除の手術を受けています。
保坂先生 こりんさんが手術を受けたのは3 年前ですから、子宮内膜ポリープ切除とは関係ないと思います。一昔前は、掻爬や流産の手術は念入りにやるほどよいとされていたのですが、現在は子宮内膜を傷つけないよう細心の注意を払うのがスタンダー ドです。子宮内膜が厚くならないのは、ポリープ切除手術のせいではないと思われるので、どうぞお気になさらずに治療を続けてください。
万一、術後が気になる場合は、子宮鏡で癒着の有無などを確認することはできます。
凍結胚盤胞移植を 5 回されましたが、い ずれも陰性。子宮内膜が 4mm程度しか厚くならず、ホルモン治療も功を奏しません。
保坂先生 着床、妊娠に備えるためには、子宮内膜の厚みは理想的には8 mm 以上、少なくとも7 mm は欲しいところで、5 mm 以下だとなかなか難しいのが現状です。
こりんさんはすでにホルモン療法をされ ていますが、ディビゲルⓇ、エストラーナⓇテープと、皮膚に塗る・貼るものをご使用 とのこと。ホルモン補充薬にはさまざまなタイプがあって、合成型と天然型もあります。現在お使いの合成型のほうが劣るとは一概には言えませんが、相性もあるので、次は皮膚から吸収させるものではなく、天然型の内服薬に切り替えるなどしてもよいかもしれません。
病院から「ホルモン受容体の感受性が悪い」 と言われたとのことですが、そのようなこと は簡単にはわからないはず。いろいろなホルモン剤を試してみる価値はあると思います。 日進月歩で新しい製剤も登場するので、希望を捨てないでください。まだ 30 歳のこりんさ んには、治療を諦めてほしくないですね。
また、採卵は問題なく、卵子のグレードも良好とのことですが、排卵誘発の過程で子宮内膜を育てるといったアプローチも可能かと思われます。移植のタイミングは難しいのですが、ぜひ検討してみてください。