Q 顕微授精で4回移植しても 結果が出ない原因は?
ドクターアドバイス
やはり、男性の精液所見が良くないから妊 娠まで至らないのですか。
永井先生 ご主人の現在の精子数は1500 ~2900万/ ml 程度、運動率は 20 %前後 とのこと。1年前と比べて状態は少し良く なっているそうですが、直進運動率が 15 % と低いようですね。顕微授精をすれば十分 妊娠の希望がもてる数値だと思いますが、 担当医の先生がおっしゃっているように、確かに精子が良くないと受精卵の質も悪くなるという報告もあります。
ロコさんは4回の移植のうち、2回は4AA、4BBという比較的グレードの良い胚盤胞を戻されています。当院でも女性側に異常がなく、男性の精子が少ないというご夫婦の場合、胚盤胞を移植しても着床しにくい、流産してしまうなど、なかなか妊娠に至らないケースが見られます。見た目ではわかりませんが、精子の質が何かしら受精卵に影響を与えていることがあるのかもしれません。
女性側に問題はないのでしょうか。
永井先生 そうとはいいきれません。男性だけでなく、女性側だったら着床障害、何かが原因で着床を妨げている可能性も考えたほうがいいでしょう。
受精卵に問題がなくても、それを受け入れる子宮に異常があることも。たとえば子宮内膜にポリープがあるとか、子宮内膜炎を起こしていて炎症があるなど。これらを詳しく調べるには、やはり一度、子宮鏡検査を受けたほうがいいと思いますね。
また、高リン脂質抗体など自己免疫に関する検査、いわゆる不育症の検査で行うようなものも念のため受けられるといいでしょう。検査をして異常がなければ、疑い を1つでも消去できると思います。
不妊に関する治療はこのまま同じ形で続けていってもいいですか。
永井先生 3回の採卵ではすべてショート 法を採用されているようですね。どんな誘 発法でも回数を重ねていくと、採れる卵子 の数は少なくなっていく傾向があります。
もし次回採卵をするとしたらアンタゴ ニスト法や、クロミッドⓇもしくはフェ マーラⓇなどの飲み薬をメインにしたもう 少しマイルドな方法で試されてみてはいかがでしょうか。
採卵数は減るかもしれませんが、少なくても質の良いものをつくっていく形のほうがいいと思いますね。強い刺激でどんどん続けるのではなく、3、4カ月治療をお休みしてまず卵巣をゆっくり休ませる。その後、なるべく卵巣を刺激しない形で採っていけば、良い受精卵ができる可能性は十分あると思います。
まだ年齢的にお若いし、2回目の移植では化学流産、つまり妊娠反応があったということですから期待がもてるでしょう。
病院については、治療や検査に対する考え方が偏っていて、あまりにもご夫婦の考え方と食い違うようであれば、ご主人と相談して転院を検討されてもいいと思います。